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背番号だけではない巨人の大シャッフル 三塁岡本、捕手阿部、FA戦士も…

2018 12/25 07:00青木スラッガー
阿部慎之助,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

背番号変更の山口俊と吉川光夫に期待される役割

原辰徳監督が来季4年ぶりに復帰する巨人は、“異例”ともいえる背番号の大シャッフルを行った。

再契約となった上原浩治がメジャー挑戦前の「19」に戻り、入団以来その番号を受け継いでいたエース菅野智之が「18」に変更。上原が今季つけていた「11」を山口俊がもらい、引退した山口鉄也の「47」が吉川光夫に。ほかにゲレーロが加入する中島宏之に「5」を譲るなど、計17人もの選手が新たな背番号で来季へ臨む。

背番号の変更には様々な目的がある。それぞれ90番台だった田口麗斗が「28」、メルセデスが「42」と若い番号に変わったのは、“出世”という意味合いが強いだろう。

一方、山口俊と吉川光の背番号変更には、原監督が期待している役割のメッセージのように受け取れる。

今季は夏場まで先発ローテーションを務めた後、終盤でリリーフに回った山口俊は、来季は先発に戻る見込み。「11」はかつて別所毅彦や斎藤雅樹など右のエースが背負った番号だ。DeNA時代から先発・リリーフ両方で実績のある山口俊だが、今後は先発に専念してローテーションの柱を担って欲しいという期待の表れではないだろうか。

今季18先発を務めた吉川光はリリーフ専任でスタートする予定だ。プロ野球史上初の9年連続60登板、歴代2位の通算273ホールドなど数々の偉業を築いた山口鉄の背番号「47」を継承し、左のリリーフエースとなれるか。短いイニングを全力で投げるリリーフで、持ち味であるストレートの球威を活かしたい。

2人は名誉ある背番号を受け継いだことで、新たなポジションでどのような活躍をみせてくれるか注目されているが、原監督体制の巨人は、選手からの志願も含めてほかにもいくつかの配置転換案が明らかになってきている。

岡本が三塁手、阿部が捕手、鍬原が守護神候補に

目玉となるのが、原監督が明言している岡本和真の三塁手構想だ。高卒4年目で3割・30本・100打点を達成した若き主砲が今季守ったのは一塁手。だが、もともとは三塁手としてのプロ入りで、今季も19試合で三塁の守備位置についた。岡本が三塁を無難にこなせば、一塁手には新加入の中島宏之やビヤヌエバを入れて打線に厚みが出てくる。

来季で40歳を迎える阿部慎之助は、自らの意志で再び捕手へ。小林誠司がおり、炭谷銀仁朗がFA加入した中での捕手再挑戦は相当な決意があってのことだろう。

捕手の競争激化により、捕手として今季、小林に次ぐ66試合に出場したルーキーの大城卓三は出場機会が危うくなった。だが打撃が売りの大城であれば、一塁手など他ポジションでの起用も十分考えられる。実際、原監督は11月に行われたMLB代表との親善試合で、大城をシーズンで1試合も守っていない一塁手のスタメンに起用しており、コンバートの可能性は出てきている。大城と立ち位置が被る宇佐見真吾にも同様のことがいえるだろう。

ルーキーでは、ドラ1右腕の鍬原拓也が守護神候補に指名された。今季は6登板全て先発で防御率6.83という成績。即戦力の期待には応えられなかったが、奪三振率(9投球回あたり平均いくつ三振を奪ったかを示す指標)は11.39という抜群の数字を残しており、リリーフで花開く期待はある。

また、今季はローテーションに定着できなかったFA加入組の野上亮磨、大竹寛、それから2年目・畠世周の扱いも気になるところだ。岩隈久志の加入などでローテーション争いは激化するが、彼らも先発としての実績があるだけに、その起用方法は投手力を大きく左右するポイントとなりそうだ。

配置転換がうまくはまれば、補強を推し進める原巨人の戦力はさらに大きなものになる。一方で、例えば岡本が三塁の守備に苦労して打撃の調子を落としてしまうなど、選手の役割を変えることにはリスクもある。原監督は巨大戦力をどのように扱うのか、名将の手腕が試される。