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大型補強敢行の巨人 立て直し託された原監督の就任1年目成績を振り返る

2018 12/13 07:00勝田聡
原監督Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

大物の補強を続けるオフシーズン

12月も半ばに入り、FA権を行使した選手たちの去就も決まった。新外国人選手の獲得やトレードでの補強はありそうだが、各チームとも来シーズンの編成が固まりつつあると言っていいだろう。その中でこのシーズンオフにもっとも動いたのが、巨人ではないだろうか。

高橋由伸監督から原辰徳監督に代わり、オリックスを自由契約となった中島宏之、今シーズンMLBで20本塁打を放っているクリスチャン・ビヤヌエバを相次いで獲得。その後、正捕手候補として西武からFA宣言していた炭谷銀仁朗、このオフ最大の目玉であった丸佳浩、さらにはメジャー帰りの岩隈久志まで補強している。

即戦力だけではない。育成契約の外国人選手も2人獲得しており、第2、第3のC.C.メルセデスを育成する心づもりもみせている。2014年以来5年ぶりの優勝へ向け、まさに「これぞ巨人」というような動きだ。

今回で3度目の監督就任となった原辰徳監督だが、過去2度の就任初年度はどのような結果を残してきたのだろうか。ここで振り返ってみたい。

初の監督で日本一を達成

初めて監督に就任したのは2002年のことだった。勇退する長嶋茂雄監督の後を受け、ヘッドコーチから監督へと昇格した。2位に終わった2001年から大きな補強はなかったが、松井秀喜、上原浩治といった投打の主力が結果を残し、リーグ優勝。日本シリーズでは西武相手に4勝0敗と圧倒し、監督就任初年度から日本一に輝いている。

特に光ったのがベテラン桑田真澄の先発起用だ。1998年に16勝をマークして以降2ケタ勝利には届かず、2001年はわずか4勝。先発ではなく、中継ぎでの起用も増えていた。しかし、原監督は桑田を先発として起用。その起用に応えた桑田は12勝6敗、防御率2.22で最優秀防御率のタイトルを獲得する。往年のエースを復活へと導いたのだ。

そして阿部慎之助だ。当時2年目だった阿部を前年わずかに届かなかった規定打席に到達させ、正捕手としての第一歩を築かせている。

松井や上原といった主力が揃っていたとは言え、ベテランの桑田、若手の阿部をうまく起用し、優勝へと導いたのである。

(2002年)140試合/86勝52敗2分/勝率.623

第2次政権は大型補強を敢行も4位

2003年オフに退任し2年間現場を離れていたが、2006年に堀内恒夫監督の後を受け2度目の監督就任となった。前回は2位のチームを引き継いだが、このときは5位のチームの立て直し、と監督としてやるべきことが異なっていた。

だからなのだろうか。「超」大型とはいかないまでもFAとなっていた野口茂樹(中日)、豊田清(西武)と先発、抑えで実績ある選手を補強。金銭トレードで守備の名手でもある小坂誠(ロッテ)、外国人選手として前年に14勝をマークしたジェレミー・パウエル(オリックス)も獲得。様々な補強手段を用いて戦力アップを図った。

しかし、5位のチームを立て直すことは容易ではなく、優勝した中日から23.5ゲーム離された4位に終わってしまう。2度目の監督就任は苦しいスタートだった。

(2006年)146試合/65勝79敗2分/勝率.451

このように原監督は就任初年度に第1次政権で2位から優勝、第2次政権は5位から4位という成績を残してきた。3位のチームを引き継ぐ形となった今回は、第2次政権と同じく大型補強を進めているが、どのような結果を残してくれるのだろうか。来シーズンの結果を楽しみに待ちたい。