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日本ハムと契約合意の王柏融 激戦区の外野でレギュラー獲得なるか

2018 12/11 07:00勝田聡
王柏融,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

イチローに匹敵するチャレンジ

日本ハムは「大王」と呼ばれている台湾のスター・王柏融(ワン・ボーロン)と、7日契約合意に達した。25歳と若いため日本の野球に適応することができれば、長きに渡りチームの顔に成り得ることも考えられる。かつては陽岱鋼(現・巨人)が在籍していたこともあり、日本ハムは台湾にとって馴染みのあるチーム。今回の「大王」獲得により、さらに人気を集めそうだ。

入団発表後に球団を通じて吉村浩ゼネラルマネージャー(GM)は

『大王』は25歳にして、極めて高度な打撃技術と対応力を有しており、日本球界への順応とさらなる進化も期待しています。紛れもなくCPBL史上最高の選手であり、NPBでの活躍に不安要素はありません。ファイターズへの入団は、「アジアの大砲」と呼ばれた呂明賜選手の日本デビューや、イチロー選手のメジャー移籍に匹敵する国際的なチャレンジです


とコメントしている。このことからも期待の大きさが表れており、現地ファンも2001年にイチロー(現マリナーズ会長付特別補佐)がメジャーリーグへ挑戦したときの日本人と同じような気持ちで見守っているはずだ。

CPBLで打率4割を2度記録した王は、2017年にはCPBL史上2人目、台湾人の選手としては初めての三冠王に輝いている。今シーズンは打率.351、17本塁打、84打点の成績を残した。

台湾代表として日本代表との対戦経験もあるため、彼の名前を知る日本の野球ファンも多いだろう。日本での知名度がグンと上がったのは、2017年2月に行われた第4回ワールド・ベースボール・クラシックの壮行試合だった。この試合で王は、則本昂大(楽天)からバックスクリーンへの1発を放っている。

また、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)も王と日本ハムとの契約合意にあたり、2015年のプレミア12にて王が放った本塁打をSNSで取り上げている。


【WBSC公式】王の本塁打とバットフリップ

激戦区の外野でレギュラー獲得なるか

気になる起用法だが、日本ハムでは左翼を中心とした外野での出場が濃厚だ。決して守備が上手いとはいえないが、まだ25歳と若いため、今後、成長する余地は十分にある。

大田泰示、西川遥輝、近藤健介の3人が主に外野を守った今シーズンの日本ハム。その他にも松本剛、淺間大基らが控えている激戦区で、いくら台湾のスターであってもスタメンは約束されていない。首位打者争いの常連である近藤や抜群の身体能力を誇る大田らとの争いに勝たなければ、試合に出場することができないのだ。

ただ、チームは王の獲得を見越してか、はたまた未だ残留交渉中のブランドン・レアードの影響か、秋季練習で大田、浅間のふたりが三塁の守備練習を行っていた。外野のレギュラー候補が三塁に回るとなれば、自ずと王の出場機会は増える。また、理由が何であれ、複数ポジションを守れる選手が増えれば起用の幅も広がり、チームとしてはプラスになるだろう。

加えて、清宮幸太郎や近藤との兼ね合いもあるが、王を指名打者として起用することも考えられる。いずれにせよ、春季キャンプでの動きを見てから栗山英樹監督が決断することになりそうだ。

日本ハムファンだけでなく、台湾にいる野球ファンからの期待も背負っている王。大きなプレッシャーを感じながら激しい競争を勝ち抜き、レギュラーの座を獲得することができるだろうか。