頼れる外国人主砲としてヤクルト打線をけん引したバレンティン
去就が注目されていたセ・リーグ打点王、バレンティンが来シーズンもヤクルトでプレーすることとなった。巨人が丸佳浩や炭谷銀仁朗を獲得するなど、ストーブリーグが盛り上がりをみせているが、ヤクルトはバレンティンの残留が最大の補強といえるだろう。
今シーズンのバレンティンは2013年の60本に次ぐ38本塁打を放ち、同年の記録に並んで自身最多の131打点をマーク。打率.268に対し、得点圏打率.308と勝負強い打撃でヤクルト打線をけん引した。
一発の怖さは相変わらずだが、今シーズン印象的だったのはチームバッティングの姿勢だ。反対方向への進塁打や、得点圏に走者がいるときは軽打でセンター前にはじき返すようなシーンが多く見られた。
7月から3番4番コンビに定着した山田哲人との相性も抜群だった。トリプルスリー達成の山田の全33盗塁のうち、17盗塁はバレンティンの打席でスタートを切ったものだ。失敗はゼロ。バントの構えをみせるなど、盗塁成功をアシストするような場面もあり、山田130得点、バレンティン131打点の球団記録をお互いが演出しあった。
そういった関係も、チームに長くいるからこそ生まれてくるものだろう。山田と同時にヤクルト入団した2011年から、いよいよ来シーズンで9年目となる。通算成績を見ると、そろそろ球団記録も視野に入ってきた。
池山隆寛の球団記録304本塁打まで残り49本
バレンティンは今シーズン夏場に調子を上げ、8月26日に月間9本目、シーズン33本目の一発で通算250本塁打を達成。869試合での達成はブライアント、カブレラに次ぐ歴代3位のスピード記録となった。セ・リーグでは落合博満の878試合を抑えて最速記録だ。
シーズン終了時の通算255本塁打はヤクルトで19年プレーした池山隆寛の304本に次いで球団記録2位。来シーズンの契約は単年で、あと何年ヤクルトでプレーするか不明だが、バレンティンなら1年で届いても驚かない本数である。

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あと50本打って池山の球団記録を更新となると、次は外国人打者の通算本塁打記録が気になってくる。今シーズンのバレンティンはペタジーニ(233本)やウッズ(240本)を抜き、現在ブライアント(259本)に次いで外国人歴代8位。200本台はバレンティンの上にブライアントを含めて他にリー(283本)など4人おり、歴代4位浮上までは来シーズンの射程圏内だ。
外国人打者本塁打記録更新なるか?
外国人本塁打歴代3位以上には、カブレラ(357本)、ラミレス(380本)、ローズ(464本)がいる。
彼らは、バレンティンと比べて早い年齢で来日したわけではない。バレンティンがアメリカでのプレーを経てヤクルトに入団したのは27歳のとき。ラミレスの来日が同じ年齢で、ローズは28歳、カブレラは30歳だった。
.現在のバレンティンと同じ34歳シーズン終了時点の通算本塁打はラミレスの256本が最多で、ローズは237本、カブレラは215本。大ベテランの年齢に入ってからも大砲として変わらず活躍し、記録を伸ばした。バレンティンも彼らに続くような活躍を30代後半で残していけるか。
実は、この外国人打者4人の中で、来日から最初の1~2年で最も苦労したのがバレンティンだ。1年目はリーグ最多の31本塁打を放ったが、打率.228で本塁打王ながら打率最下位。シーズン中に深刻な不振に陥る期間もあり、また故障も多く安定感に欠けるところがあった。
小川淳司監督や宮本慎也コーチの指導もあり、いまや頼れる外国人主砲。ヤクルトで育ったカリブの助っ人のさらなる本塁打量産に期待したい。