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選手分析「若手大砲が見せた対応力」~オリックス #34 吉田 正尚~

ボール,ⒸShutterstock.com
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“弱点”を克服 吉田正尚

豪快なフルスイングでファンを魅了してきたオリックス・吉田正尚。その一方、腰痛の影響で過去2年はいずれも60試合ほどの出場にとどまっていて、故障さえなければ、と思われていたことも確かだろう。

迎えた3年目の今季、初の全試合出場を達成するとリーグ4位の打率.321をマークするなど、チームの主軸として十分な成績を記録した。かねてより評価されていたポテンシャルを証明した形の吉田だが、その裏である“弱点”を克服していた。

2016~18年:打撃成績

昨季までの吉田は、外角で持ち味のパワーを発揮できていなかった。特に2017年は、外角球に対する本塁打が1本もない。この傾向を相手チームも認識していたのか、今季は吉田に対する外角への投球は過去2年よりも増加。オールスター前後で見てみると、後半戦は前半戦の56%よりも2ポイント多くなっていた。ところが、今季の吉田はこのコースで8本塁打を放ち、6割近い外角への配球に対応していた。

2016~18年:コース別本塁打数

フライ割合の増加で高打率へ

前半戦は外角打率.263とまずまずだったが、後半戦には打率.307まで数字を上げている。その要因のひとつが、フライ割合の変化だろう。一般的に打球がゴロになりやすい外角への投球が増える中、後半戦に入ってフライの割合が増加した。高いパフォーマンスを発揮しながら試合に出続けることは、決して簡単なことではない。故障なくシーズンを乗り切る体力に加え、弱点と思われていたコースへの対応力も示したのが、吉田正尚の3年目といえる。

2018年:期間別外角打撃成績
2018年:期間別外角フライ割合

阪急とオリックスのプロ入り3年目までの選手を対象に、総合的な打撃力を示すOPSをランキングにしたのが下図だ。イチローや加藤秀司氏らチームのレジェンドが名を連ねる中で、今季の吉田は堂々の3位につけている。2年連続となる全試合出場を果たし、自慢のフルスイングでどれだけの成績を残せるのか。その将来への期待は高まるばかりだろう。

オリックス歴代:プロ入り3年目以内のOPSランキング

企画・監修:データスタジアム、執筆者:矢島 慎太郎