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阿部復帰、炭谷加入で正捕手争い激化の巨人 小林筆頭に5人の競争へ

2018 12/1 07:00勝田聡
読売ジャイアンツ,小林誠司,阿部慎之助,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

巻き返しのために次々と補強する原巨人

原辰徳監督体制となった巨人が、このシーズンオフに補強を重ねている。新外国人選手として、今シーズン20本塁打を記録している強打の内野手クリスチャン・ビヤヌエバ(パドレス)を獲得。また、オリックスから大幅な減額となった年俸を提示され、自由契約となった中島宏之を補強した。そして、西武からFA権を行使した炭谷銀仁朗を迎え入れた。

炭谷は森友哉の台頭もあり、今シーズンは47試合の出場にとどまっていた。西武は今後、打撃で勝る森友哉を正捕手として起用する可能性が高く、今後も出番の減少が予想された。もちろん巨人に入団したからといって、即レギュラー、スタメン確約が保証されているわけではない。小林誠司や大城卓三、宇佐見真吾といった新しいチームメートとの争いに勝つ必要がある。

すなわち、巨人の捕手争いが今まで以上に激しくなることを意味する。また、来シーズンから阿部慎之助が捕手へと復帰予定。炭谷、阿部と経験のある捕手が小林、大城といった今シーズン多くの試合に出場した捕手と争うのである。

今シーズンは小林がチーム最多の119試合に出場

巨人の捕手事情を見ると、今シーズンもっとも試合に出場したのは小林(119試合)だった。春先は打撃も好調で一時は首位打者争いに加わったが、シーズンを通して好成績を維持することはできなかった。最終的には打率.219にとどまり、チャンスを与えられながらも、完全な正捕手になりきることができなかった。

巨人捕手と炭谷の成績


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その小林と併用で起用されていたのが、ルーキーの大城だった。NTT東日本からドラフト3位で巨人へと入団。開幕一軍を手にすると、シーズン中に一度もファームへ降格することなく、1年間を一軍ですごした。規定打席には到達していないが、打率.265、4本塁打は新人、そして1年目ということを考えると上々の結果だろう。今秋のキャンプでは一塁守備にもついており、さらに起用の幅は広がりそうだ。

一昨年に頭角を現した宇佐見真吾は一軍で打率.104と苦しいシーズンとなった。もともと、打撃面で定評のあった選手だけに、もう少し結果がほしいところ。一方の炭谷は47試合で打率.248と、通算打率.212よりは高い打率を残したが、過度に期待をかけることはできない。

来シーズンの起用は?

捕手というポジションは守備と打撃の両面で評価が下される。評価の中には投手との相性やキャッチング、盗塁阻止といった要素も含まれる。打撃面でリードしている大城だが、圧倒的な打撃成績を残していない限り、正捕手固定とはならないだろう。

現時点において、原監督は捕手の起用に関して明言はしていない。一般的にベンチ入りメンバー25名のなかで捕手は2人から3人。その枠を巡って炭谷、小林、大城、阿部、宇佐見といった面々でキャンプからオープン戦で争うことになる。

現在のプロ野球を見ると、今シーズンの巨人同様に正捕手が固定されていない球団が多い。日本一のソフトバンクは甲斐拓也と高谷裕亮、セ・リーグ覇者の広島は主に石原慶幸、會澤翼、磯村嘉孝と複数の捕手を起用しながら1年を戦った。そのため、両チームで規定打席に到達した捕手は不在となった。

チーム事情によって起用法はことなるが、複数の捕手を併用しシーズンを乗り切っているのである。はたして原監督は扇の要である捕手起用をどのように考えているのだろうか。その采配に注目したい。

※数字は2018年シーズン終了時点