山本由伸、梅野雄吾が「勝利の方程式」入り
来シーズンには3年目を迎える2016年ドラフト組。特にドラフト時に人気だったのは、即戦力候補と期待された田中正義(創価大→ソフトバンク1位)と佐々木千隼(桜美林大→ロッテ1位)という大学生投手だった。高校生で注目を浴びていたのは今井達也(作新学院高→西武1位)、藤平尚真(横浜高→楽天1位)、寺島成輝(履正社高→ヤクルト1位)、堀瑞輝(広島新庄高→日本ハム1位)である。
現時点では上記の選手で確固たる成績を残している選手は不在だが、今後の「のびしろ」に期待がかかっている。
その一方で、ドラフト時は大きな話題にはならず中位・下位指名だった選手が、早々と戦力になりつつある。筆頭格が山本由伸(都城高→オリックス4位)だ。セットアッパーに定着した今シーズンはオールスターゲームにも出場。シーズン通して54試合に登板、32ホールド、防御率2.89の堂々たる成績。来シーズンの起用法は定まっていないが、先発・中継ぎどちらの役割になっても期待できそうだ。
もうひとりは、今シーズン終盤に「7回の男」と呼ばれた梅野雄吾(ヤクルト)だ。2年目の今シーズンは序盤3試合で2.1回、11失点と大炎上し、一軍の戦力になれなかった。しかし、二軍では中継ぎとして調整を重ね8月に再昇格。8月の月間防御率は1.86で、9月は2.38と結果を残し、「勝利の方程式」に加わった。
このシーズンオフは、イースタン・リーグ選抜として台湾で開催されているアジアウインターリーグにも出場中。さらに経験を積み、来シーズンも勝利に貢献してほしい。
京山将弥、才木浩人は6勝をマーク
山本、梅野といった中継ぎ陣が結果を残しつつあるが、先発として期待されている選手もいる。そのひとりが京山将弥(DeNA)だ。昨シーズン、登板のなかった京山は開幕ローテーションに抜擢されると3連勝を飾り、覚醒を予感させた。

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だが、それ以降は「一軍の壁」に直面し成績は伸びず、シーズントータルでは6勝6敗、防御率5.64に終わっている。開幕3連勝スタートから考えると、少し物足りない感はあるが、高卒2年目と考えれば上出来だろう。来シーズンは再び、ローテーション争いへ加わることに期待したい。
才木浩人(阪神)も京山と同じく6勝(10敗)をマークした。先発、中継ぎと役割は固定されなかったが、82回を投げ、85奪三振と奪三振率は9を超えてきた。来シーズンは先発ローテーションとして1年を回りたいところだ。
藤嶋健人(中日)も才木同様に先発、中継ぎとして起用され、19試合で3勝1敗、防御率3.66の成績を残した。なかでも印象的だったのは6月17日の西武戦だ。本来であれば、松坂大輔が先発する予定だったが、試合前のアクシデントで急遽登板を回避。
その代役としてマウンドに立ったのが藤嶋だ。思いがけないプロ初登板だったが、6回2失点と好投を見せ、プロ初勝利を飾っている。来シーズンの役割は決まっていないが、与えられた役割でしっかりと投げ抜いてほしい。
ロッテで期待されているのは種市篤暉だ。7試合の先発で0勝4敗、防御率6.10と数字だけを見れば、結果を残したとは言い難い今シーズン。だが、井口資仁監督が種市の才能を買っているからこそ、一軍での出番を多く与えられたという見方もできる。涌井秀章、石川歩といった柱ともいえる選手に続く期待のホープだ。
ドラフト時の評価が低くても、プロ入り後に伸びる選手は多い。まだまだ伸び盛りでもある高卒3年目の選手たち。来シーズンは今シーズン以上の結果を残し、チームの柱になるべく成長を遂げてほしい。
※数字は2018年シーズン終了時点