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FA流出翌年の西武は強い?今季は多和田16勝、主力抜けても代役が台頭

2018 11/29 07:00青木スラッガー
埼玉西武ライオンズ,FA移籍,ポスティング移籍,ⒸSPAIA
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リーグ優勝4度、日本一も2度。FA流出翌年の西武は強い?

西武は浅村栄斗、炭谷銀仁朗と2人のFA流出が決定した。炭谷は後進の成長で今シーズン出場機会大幅減となっていたが、浅村は全試合に出場した不動の3番・二塁手だ。また、今オフはエース菊池雄星のメジャー移籍も濃厚。投打の柱を同時に失い、せっかく昇りつめたパ・リーグ王者の座から再び遠ざかってしまうのか……。

1993年オフのFA制度スタート以来、西武からFA移籍した選手は今回の浅村・炭谷で12球団最多の18人となった。スターがチームを去っていく悲しみを、最も味わってきたのが西武ファンだ。

しかし、西武はこれまでも主力の流出を繰り返しながら、強豪チームの立ち位置を守ってきた。オフにFA移籍またはポスティング移籍があった翌シーズンの順位を振り返ってみる。

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順位を下げたのは4シーズンだけで、7シーズンは順位を上げている。2017年オフに野上亮磨、牧田和久が抜けた今シーズンを含め、リーグ優勝は4度。2004年、2008年には日本一も達成した。

優勝シーズンはすぐに代わりの選手が登場

清原和博が抜けた1997年は、「マルちゃん」ことドミンゴ・マルティネスが代役として入団。打率.305、31本塁打、108打点を挙げる大活躍で見事主砲退団の穴を埋めた。

松井稼頭央がメジャー挑戦で抜けた2004年は、今オフ巨人入りが決まった中島裕之が4年目で遊撃手レギュラーを獲得。打率.287、27本塁打、90打点、18盗塁と前年までの松井稼に匹敵する好成績をマークする、あまりにも完璧な世代交代であった。

2008年はリーグ屈指の強打者だった和田一浩が退団。この年にブレイクしたのが、現在も頼れるベテランとしてチームを牽引する2人だ。栗山巧は和田が守っていた左翼手のポジションに収まり、初の規定打席と打率3割を達成。中村剛也も初めて規定打席に到達し、46本塁打で自身初の本塁打王に輝いた。

その年から10年ぶりのリーグ優勝となった今シーズン。2016年オフにエース岸孝之、2017年オフは野上亮磨、メジャー挑戦の牧田和久と2年間で3人もの主力投手が退団したが、今度は3年目の多和田真三郎が16勝で最多勝に輝く大躍進だ。前年野上の11勝を大きく上回り、エース菊池との両輪で投手陣を引っ張った。

来季は金子侑司、メヒアの復活に期待

次々とスター選手が他球団へ巣立っていってしまうが、そのときは他の選手が活躍し、ここまで勝ってきているのが西武だ。FA流出人数12球団最多も、選手がたくさん育っている証である。

最近の流出した選手で、後釜に苦労したのが今オフ巨人入りが決まった中島裕之だ。中島がメジャー挑戦で抜けた2013年以降はなかなか次の遊撃手が定まらず、2017年に新人王を獲得する源田壮亮が登場するまで2014年から3年連続Bクラスとなった。

しかし今回の野手2人の場合、ポジションの穴埋めは問題なさそうだ。長年正捕手を守ってきた炭谷の後釜には、高卒のルーキー時代から打撃は抜群だった森友哉が、今シーズンは盗塁阻止率両リーグ3位の.373を記録するなど守備面でも大きく成長してきている。

浅村の代わりの二塁手としては、今シーズン三塁手と右翼手を守ったユーティリティープレーヤーの外崎修汰が起用されることになりそうだ。そうなると、外野が一枠空く。そこで浅村と同級生で2016年盗塁王の金子侑司や、打線のリカバリーとしては今シーズン9本塁打にとどまったメヒアの復活が鍵となってくるだろう。