今シーズンの連続タイトル 最長は則本の史上3人目、5年連続奪三振王
日米野球も終了し、2018年のプロ野球は見納めとなった。ペナントが終了してから少し時間が経ったが、改めて今シーズンのタイトルホルダーを振り返りたい。注目したいのは、何年も続けて同じタイトルの座に君臨している選手たちだ。
今シーズン、2年以上連続でタイトルに輝いたのは以下の6名。なかでも3年以上となる楽天・則本昂大、ソフトバンク・柳田悠岐、巨人・菅野智之の連続タイトル獲得は、プロ野球史上でも非常にレアな記録となった。
パ・最多奪三振(5年連続5度目) :則本昂大 187奪三振
パ・最高出塁率(4年連続4度目) :柳田悠岐 出塁率.431
セ・最優秀防御率(3年連続4度目):菅野智之 防御率2.14
パ・最多安打(2年連続3度目) :秋山翔吾 195安打
パ・最多盗塁(2年連続3度目) :西川遥輝 44盗塁
セ・最多勝利(2年連続2度目) :菅野智之 15勝
最長は則本の5年連続最多奪三振だ。204奪三振をマークした入団2年目からの継続タイトル。5年間で計1044個もの三振を奪い、金子千尋、大谷翔平、千賀滉大、菊池雄星といった他球団のエースたちを寄せ付けなかった。
今シーズンの則本は180.1回で10勝11敗、防御率3.69、187奪三振。2年目以降はじめて200奪三振を逃し、防御率も本来の数字ではなかった。しかし奪三振率から見ると、則本の9.33は規定投球回以上で両リーグダントツと、多少数字を落としてなお抜群の奪三振能力の高さを示している。
最多奪三振の5年連続獲得は史上3人目。最長は6年連続を阪神・江夏豊、近鉄・鈴木啓示(ともに1967~72年)の2人が記録している。来シーズンは最長タイ記録へ並べるか大きな期待がかかる。
柳田は4年連続最高出塁率、長打率も4年連続
柳田は最高出塁率を4年連続で獲得となった。打率.352(首位打者)、36本塁打、102打点、出塁率.431、長打率.661と各部門で圧倒的な数字を残し、総合的にキャリアハイといっていいシーズンを送った。
表彰はないものの、長打率も4年連続でパ・リーグトップだ。つまり、打撃の総合力を示す指標OPS(出塁率+長打力)で4年連続リーグトップということになる。柳田が現在の球界でいかに突出した存在であるか示す記録である。
最高出塁率の表彰が現行の規定となった1985年以降では、柳田の4年連続は1985~88年の落合博満(ロッテ→中日)、1992~95年のオマリー(阪神→ヤクルト)と並び3人目の最長タイ記録。「出塁数」として表彰していた1984年以前のセ・リーグには、巨人・王貞治の12年連続というとてつもない記録があるが、そこへどれだけ近づいていけるか注目だ。
菅野の3年連続最優秀防御率は「神様」稲尾以来2人目
則本・柳田以上に、達成人数として難易度が高かったのは菅野の3年連続最優秀防御率だ。1956~58年の西鉄・稲尾和久以来、プロ野球史上2人目という偉業である。
菅野の2016年からの防御率推移は2.01、1.59、2.14。2016年は広島・ジョンソン(2.15)、昨シーズンはチームメイトのマイコラス(2.25)と強力なライバルもおり、決してまぐれで手に入ったタイトルではない。
今シーズンは15勝8敗・200奪三振で最多勝・最多奪三振も獲得し、2010年の広島・前田健太以来となる投手三冠。3部門のほかに202投球回など、7つの選考基準をすべてクリアで史上5人目の2年連続沢村賞選出となった。ヤクルトとのCSファーストステージではポストシーズン史上初のノーヒットノーランという快挙もあり、記録づくめの1年となった。
連続タイトルを阻止できそうな選手は……
それぞれライバルとなりそうな選手を見渡すと、昨シーズン217奪三振の菊池は今オフのメジャー移籍が濃厚で、パ・リーグ奪三振王の有力候補は1人消えそうだ。今シーズン規定投球回未達ながら、141回で163奪三振、奪三振率10.40をマークしたソフトバンク・千賀滉大が今後は則本の最大のライバルとなるだろう。
柳田には日本ハム・近藤健介という強力なライバルがいる。昨シーズンは長期離脱があり57試合231打席の出場ながら、出塁率.567と規格外の数字を残した選球眼は球界ナンバーワンか。今シーズンは出塁率.427で柳田までわずか4厘差と、タイトルを奪う可能性は十分に持っている。
セ・リーグ先発投手陣は今シーズンの防御率2位がDeNAのルーキー・東克樹の2.45。2015年に防御率1.85をマークした広島・ジョンソンはここ2年間3点台以上となっており、いまのところ防御率で突き抜けられそうな投手は見当たらない。菅野が本来の力を発揮できれば、史上初の4年連続最優秀防御率は堅いといえそうだ。
彼らのタイトル独占はどこまで続くか。来シーズンもそれぞれエース、主砲として、圧倒的な成績を期待したい。