FAの目玉・丸佳浩の決断はいかに
広島からフリーエージェント(FA)宣言をした丸佳浩の動向に大きな注目が集まっている。報道によると、巨人とロッテが丸の獲得意志を表明しており、広島を含めた3球団の争奪戦となっている。
それぞれの球団にメリットがあり、丸本人の判断次第だが、ここでは、ロッテに入団した場合の丸と球団のメリットを挙げてみる。
広島からフリーエージェント(FA)宣言をした丸佳浩の動向に大きな注目が集まっている。報道によると、巨人とロッテが丸の獲得意志を表明しており、広島を含めた3球団の争奪戦となっている。
それぞれの球団にメリットがあり、丸本人の判断次第だが、ここでは、ロッテに入団した場合の丸と球団のメリットを挙げてみる。
2018年シーズン終了時点で、丸は通算1079安打(1軍で初安打を記録した2010年から2018年の9年間)を放っている。現在29歳の丸がこのペースで打ち続けると、30代後半には2000安打に到達できそうだ。
しかし、体力が衰える30代になれば、チーム内の競争や若手の台頭、怪我など、20代の頃にはなかった様々な壁が待ち受けている。その点で、DHのあるパ・リーグであれば、守備が衰えても現役を長く続けられる可能性がある。
また、今年はロッテ一筋25年の福浦和也が、プロ野球史上52人目となる通算2000安打を達成した。福浦は2009年に108安打を記録して以降、100安打以上を記録したシーズンがなく、2012年以降に関しては、毎シーズン50本にも満たなかった。
それにも関わらず大記録を達成できたのは、やはりDHの存在が大きい。また、地元千葉の習志野高校から入団した正真正銘のフランチャイズプレーヤーであり、球団とファンに愛され続け、「福浦の2000本安打達成が球団とファンの夢」となっていたことも、記録達成の大きな要因だろう。
同じく千葉県出身の丸が同じ道を歩むことは想像に難くない。
ロッテは、1992年に千葉県に移転して以来、様々な地域振興活動を推進。地域密着を掲げる球団として、今では完全に千葉県に根づいている。
そんな球団のアイコンとして、千葉県勝浦市出身の丸は適任といえるだろう。また、丸が通っていた千葉経済大学附属高等学校は千葉市稲毛区にあるが、その稲毛区に隣接しているのがZOZOマリンスタジアムのある美浜区だ。
高校時代までを千葉で過ごした丸は、地域密着を掲げる球団として是が非でも獲得したい人材。だからこそ、FA戦線にあまり参戦しないロッテが名乗りを挙げているのだ。
ロッテといえば「応援」だ。12球団随一といわれる熱い応援は、プロ野球ファンの間ではもちろん、他のスポーツファンからも一目置かれている存在だ。また、好機に演奏されるチャンステーマは高校野球の応援でも頻繁に使用されている。
ビジターの応援が熱いことでも有名。黒いユニフォームを着用してビジターの応援席を埋めつくすマリーンズファンは、手拍子と指笛を主体とし、大きな声を出して跳ね続ける。ビジターでもホームのような雰囲気を創り上げることができるのは、マリーンズファンならでは。ロッテに入団すれば、12球団で一番熱い応援を味方につけて戦うことができる。
ロッテはここ数年、ドラフトで高卒のスター選手を引き当ててきた。2015年は平沢大河(仙台育英)、2017年は安田尚憲(履正社)、そして2018年は藤原恭大(大阪桐蔭)だ。
丸とは、高卒でプロ入りしたという共通点のほか、左打者という共通点もある。打撃技術はもちろん、真摯に練習に取り組む丸の姿勢は、これ以上にない生きた教材となるだろう。
また、荻野貴司(33歳)、清田育宏(32歳)、角中勝也(31歳)、伊志嶺翔大(30歳)と、外野陣が高齢化しており、20代中盤から後半の外野手がレギュラーに定着できていない。チームリーダーとしてはもちろん、年齢構成のバランスといった意味でも、丸の加入は大きな意味をもつだろう。
ここ数年の日本シリーズや交流戦の結果をみると、パ・リーグ優位は否めない。過去10年(2009年~2018年)の日本シリーズを振り返ると、パ・リーグが8勝2敗と大きく勝ち越し。交流戦に関しては、パ・リーグが9年連続で勝ち越している。11月15日に幕を閉じた日米野球の最終戦でも、スターティングメンバー9人のうち7人がパ・リーグの面々だった。
また、丸と同じ中堅手に目を向けると、柳田悠岐(ソフトバンク)、秋山翔吾(西武)、西川遙輝(日本ハム)、田中和基(楽天)と、走攻守揃った好打者がひしめく。ゴールデングラブ賞もベストナインも、セ・リーグと比較するとハイレベルな争いになることは間違いない。自己研磨という観点からも、パ・リーグに挑戦する価値はある。
広島残留か、それとも新しい環境での挑戦か。丸の動向から目が離せない。