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選手分析「常識破りのストレート」~ロッテ #86 ボルシンガー~

2018 11/11 11:00データスタジアム
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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外国人投手最長タイの11連勝を記録

ロッテの助っ人、マイク・ボルシンガーは5月から7月にかけて外国人投手最長タイの11連勝を記録。シーズン後半は故障もあって失速したものの、最終的には13勝2敗という成績で最高勝率に輝いた。今回はそんな“負けない助っ人”の分析をしてみたい。

2018年:球種別投球割合・平均球速
2018年:ストレート高低別投球割合

ボルシンガーの球種で注目したいのが、ナチュラルに動くストレートだ。平均球速は139.4キロとリーグ平均の143.8キロを大きく下回っているにもかかわらず、高めのゾーンに投じることが多い。高めのゾーンは剛速球であれば空振りを奪うのに効果的だが、140キロ前後のボールでは痛打を浴びるリスクが増えそうなものである。

2018年パ・リーグ:高めのストレートゴロ割合ランキング

ゴロを量産する遅いストレート

そこで、高めストレートの打球を分析したところ、ゴロ割合がリーグトップであった。リーグ平均が36.5%であることを踏まえると、この62.1%という数値がいかに突出しているかが分かる。ボルシンガーのストレートはスピードに欠けるものの、打者の手元で微妙に動くことで、高めであっても長打のリスクが低い打球を打たせられているようだ。

2018年パ・リーグ:被本塁打率ランキング

その結果、今季の被本塁打率は100イニング以上を投げた投手の中でリーグトップの0.54を記録。来日1年目にして活躍できたのは、こうした面も大きかったといえる。本拠地のZOZOマリンは来季から「ホームランラグーン」と呼ばれるラッキゾーンが設置され、ホームランが増加することが予想される。ロッテ投手陣は被弾が増えることも懸念されるが、ボルシンガーが受ける影響は小さいかもしれない。来季もロッテに所属するならば、“ゴロを量産する遅いストレート”の真価が発揮されることだろう。


企画・監修:データスタジアム、執筆者:川畑 賢太郎