「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ソフトバンク森唯斗はなぜセーブ王を獲得できたのか? データが示した圧巻のクローザー適正

2018 11/8 11:00SPAIA編集部
野球ボール,ⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

ソフトバンクのピンチを救った森唯斗

2018年のプロ野球は福岡ソフトバンクホークスが4勝1敗1分けで日本シリーズを制し、幕を閉じた。今年のソフトバンクはケガ人が続出して苦戦を強いられ、中でもクローザーのサファテの離脱は痛手だった。そんなソフトバンクブルペンを助け、クローザーのポジションを確立したのが森唯斗だ。

本来の絶対的守護神サファテがシーズン序盤の4月15日に離脱して以降、クローザーに抜擢され、4月17日に初セーブを記録。その後も安定した投球を見せ、最終的にセーブ王のタイトルを獲得した。

今シーズンの主な各球団のクローザーの成績は次の通りである。

2018年主なクローザーの成績

ⒸSPAIA

2位の増井が35セーブを挙げていることを考えれば、シーズン途中から抑えに転向してのタイトル獲得は快挙と言える。まさに大車輪の活躍だ。

森はクローザーとして非常に特徴的な投手である。

ストレートの投球割合に特徴

こちらの表を見ていただきたい。

2018年主なクローザーのストレート

ⒸSPAIA

ストレートの被打率の低さがよく分かる。クローザーはストレートでいかに打ち取れるかが大事な要素のひとつ。森の場合、質の高い真っすぐをしっかりと投げ切れていることが、セーブの量産、そしてタイトル獲得へとつながった。

しかし、ストレートの被打率は低いものの、全投球に対するストレートの投球割合は4割にも満たず、パ・リーグのクローザー陣の中では最も低い。ここが森の特徴であり持ち味だ。

森唯斗の武器は?

被打率の低いストレートを持っていながら、投球割合はそこまで高くない。では、ストレート以外に森が武器とする球種はなんだろうか。

答えはカットボールである。

今シーズンのカットボールの投球割合は29%とストレートに次ぐ高い割合で、2球種を合わせると67%と全投球の2/3を占める。

カットボールはフォークボール、スライダーのように大きく変化し空振りを狙うボールではなく、手元で小さく変化し、バットの芯を外すことを狙う球種だ。

そのことがどのような結果につながっているのか。主要なクローザーの奪三振率、ゴロアウト率、フライアウト率を比較してみる。

2018年主なクローザーのアウト種類

ⒸSPAIA

森の奪三振率は抑え投手の中では平均的である。一方、ゴロアウト率に関しては他のクローザーに比べ群を抜いており、反対にフライアウトは少ない。森はカットボールの特徴を活かし、ゴロを打たせていることがわかる。

さらに森のカットボールは、状況によって空振りが取れるボールでもある。

2018年森唯斗の速球

ⒸSPAIA

ストレートとカットボールの細かいデータを比較すると、カットボールはストレートを上回る空振り率を記録。また、両球種ともに20個の三振を奪っており、決め球としても優秀であることがわかる。

今シーズンは37セーブをあげ、ホークスの守護神として大活躍した森。来シーズン、サファテの復帰が濃厚なチーム事情を考えれば再びセットアッパーを任されることも考えられる。どのような役割になったとしても、特徴的な投球スタイルでホークスブルペンの大きな支えとなるだろう。