青木宣親が通算打率歴代トップに
大リーグから帰ってきたヤクルトの安打製造機・青木宣親は、今シーズン、アベレージヒッターとして最高の称号を手に入れた。NPB通算打率で歴代トップに立ったのだ。
青木はNPB通算8シーズンで3900打数・1284安打・打率.329という成績を残し、2012年にメジャー挑戦のため日本球界を離れた。しかし日本野球機構により、打率が通算成績として認められるのは「4000打数以上」であるため、通算打率として認められるためにはあと1000打数必要だった。
7年ぶりにヤクルト復帰した今シーズン、青木は開幕から1か月少しで通算4000打数に到達。その時点で通算打率.327。それまでトップだったレロン・リーの打率.320を抜き去った。
最終的に青木はシーズン打率.327をマークして1年を終了。通算打率は9シーズンで.329となった。このまま歴代トップの座をキープできるか注目だ。
現役では内川・糸井・秋山が通算打率3割
近年、セイバーメトリクスの普及で「OPS」など様々な指標が一般のファンにも普及し、打率だけで打者の能力が語られることはなくなった。しかし4000打数以上の「3割打者」で現役を最後まで全うするとなると、その難易度は相当なものだ。引退した選手としては、これまで計21名しか通算打率3割を達成していない。
青木がこれから通算打率3割を切ることは考えづらいが、ほかに現役選手で通算3割に挑戦できそうな選手はいるのか、また青木を超えられそうな打者はいるのだろうか。
現役選手の通算打率ランキングは、以下のようになる。
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今シーズン終了時点、4000打数以上で打率3割に届いているのは青木のほかにソフトバンク・内川聖一(.307)、阪神・糸井嘉男(.301)、秋山翔吾(.300)の3名だ。
今シーズン打率.323をマークした秋山は、さらに通算打率を伸ばしていくことが期待できるだろう。3割を超えているベテランの糸井、内川も、まだまだシーズン打率3割を達成する力はある。内川は現時点で右打者としては落合博満(.3108)、レオン・リー(.308)に次いで歴代3位。落合超えも期待したいところだ。
2割9分以上はオリックス・中島宏之(.296)、阪神・福留孝介(.293)、巨人・坂本勇人(.291)。30歳となる今シーズン、打率.345を残した坂本はここから十分に通算3割到達、さらにもっと上の成績も望めるだろう。
41歳の福留、36歳の中島は、年齢を考えると少し難しいだろう。今後、450打数150安打の打率.333を毎シーズン続けていくと仮定すると、これだけのハイアベレージだとしても中島でさえ最低2シーズン必要になってくる。
急上昇の柳田悠岐、3年後に青木超えなるか
今のところ、青木以外の打者は、3割をキープできるかどうかというのが現状だ。イチローの日本球界復帰の可能性を除けば、4000打数以上の現役で青木の脅威となりそうな打者はいない。
しかし今シーズン、抜群の成績を残し、通算打率を大きく向上させた打者がいる。シーズン打率.352でダントツのパ・リーグ首位打者を獲得した柳田悠岐である。
柳田がはじめて規定打席に到達したのはプロ4年目の2014年。いきなり打率.317のハイアベレージを残し、現在まで5年連続打率3割以上をマーク。打率.363の2015年と今シーズンで、2度の打率3割5分以上を記録した。
現在、通算8シーズンで2875打数・921安打・打率.320。開幕前は打率.314だったので、今シーズンだけで6厘上乗せしたことになる。ただし、4000打数到達には最低でもあと2シーズンは必要だ。
ほかに広島・鈴木誠也は打率.312だが、まだ1612打数と4000打数までは遠い。柳田と同じ時期にブレイクしたヤクルト・山田哲人も打率.301と差は大きい。青木に挑むチャレンジャーとなれそうなのは、今のところ柳田くらいだろう。
はたして、柳田は今後もヒットを量産し、青木から通算打率歴代トップの座を奪うことができるのか。気の長い戦いとなるが、2人の安打製造機ぶりに注目していきたい。