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選手分析「10年目の打撃改革」~日本ハム #9 中島卓也~

2018 10/23 07:00データスタジアム
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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早いカウントから振りにいく積極性がアップ

2016~18年:打撃成績

驚異的な粘りで唯一無二の打撃スタイルを確立していた中島卓也。打率.264を残した2015年にはベストナインに選ばれた実力者だが、16、17年は不本意な結果に終わった。しかし、プロ10年目を迎えた今季は、打率.261を記録する。今回は、打率の回復をもたらした“打撃改革”に迫りたい。

2016~18年:ファーストストライクスイング率

昨季は打率を2割に乗せるのがやっとだった中島に、どんな変化があったのか。まず着目したデータが、打者の積極性を示す「ファーストストライクスイング率」だ。早いカウントから振りにいく打席が増えており、今季はリーグ平均に迫る数字を残した。

フライが増え、打撃成績が向上

2016~18年:打球性質内訳

2016~18年:フライ打球の打率

打席での積極性に加えて、打球の性質にも大きな変化があった。フライの割合に着目すると、これまでは20%前後を推移していたが、18年は31%までアップ。昨季以前との違いがうかがえる。さらに、フライを打ったときの打率は.352をマークしており、しっかりと結果に結びついていることが分かるだろう。

2016~18年:長打割合

フライが増えたことによる利点と考えられるのが、長打割合の上昇だ。安打に占める長打の割合を見ると、2ケタのパーセンテージに乗せている。決して長打を量産するタイプではないが、今季は打球に一定の力強さがあったことが証明できるだろう。

今季を迎えるにあたり、中島は「打てないとダメ」という考えから、ストライクカウントによって腰のひねりを大きくするなど、打撃改造に取り組んだという。粘りのバッティングが球界やファンに浸透している選手だが、今季の姿勢や打球はこれまでのイメージを変えるものだった。

昨今、フライ性の打球を増やすことによって、打撃成績が向上した例は複数紹介されている。打率や長打数のデータだけでは伝わらないが、中島もフライの増加がプラスに働いた一人と評していいだろう。


企画・監修:データスタジアム、執筆者:矢島 慎太郎