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クライマックスシリーズ・チーム分析 ~セ・リーグ~

2018 10/12 14:27データスタジアム
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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広島カープ戦力分析

2009~18年,プロ野球,3・4番打者OPSランキング

球団史上初となるリーグ3連覇を果たした広島。過去2年同様にリーグ最多得点をたたき出した強力打線が、優勝の原動力となった。

中でも3番・丸と4番・鈴木の主軸コンビは、並外れた打撃成績をマーク。この2人が主に務めた3・4番打者のチームOPSは1.032を記録しており、これは過去10年でNPBトップの数値だった。千両役者のバットが火を噴けば、日本シリーズ進出を大きく引き寄せることができるはずだ。

2018年,広島カープ,主な救援投手成績

一方で、投手陣は新戦力の台頭がチームを支えた。若手では高卒2年目のアドゥワが、開幕からブルペンでフル回転。そして、目を見張ったのは、5月に支配下登録を勝ち取ったフランスアの活躍だ。

8月には日本タイ記録の月間18試合に登板し、月間MVPに輝くなど、連戦が続く夏場に救援陣の柱として君臨。リードした状況で絶対的セットアッパーにつなげるかが、昨季涙を飲んだクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜く上でのポイントとなるだろう。

ヤクルトスワローズ戦力分析

2014~18年,ヤクルト,先発投手ゴロ割合

前年96敗の最下位から2位へと躍進したヤクルト。今季はリーグ全体の本塁打が100本以上増加するなど、“打高投低”の年であったが、リーグで唯一、昨季に比べて被本塁打が減少。

要因のひとつとしては、先発投手のゴロ割合が上昇したことが挙げられる。短期決戦でもゴロを打たせ、長打を浴びるリスクを軽減させることが、勝利のカギを握るだろう。

2018年,セ・リーグ,7回以降の得点

7年ぶりの古巣復帰となった青木が期待に違わぬ活躍を見せ、山田哲が2年ぶり3度目のトリプルスリーを達成するなど、活発だった今季のヤクルト打線。

とりわけ、7回以降はリーグ3連覇を果たした広島をも上回る得点をマーク。救援投手が12球団最多の36勝を挙げていることからも、終盤の粘り強さがうかがえる。CSでも中盤まで僅差の展開に持ち込めば、勝機が見えてくるかもしれない。

読売ジャイアンツ戦力分析

2018年,セ・リーグ,先発投手成績

球団12年ぶりに勝率5割を下回るシーズンだったものの、レギュラーシーズン最終戦でAクラスに滑り込んだ巨人。マシソン、カミネロといった勝利の方程式を担った投手が故障で不在の中、先発陣はともにリーグトップの投球回、防御率を記録した。

特に菅野はクライマックスシリーズ争いが過熱した9月下旬以降に3試合連続完封を果たすなど、NPB史上40年ぶりとなるシーズン8完封をマーク。これからの戦いにおいても、巨人の命運はエースの投球に懸かっている。

2014~18年,巨人,4番打者打撃成績

一方の打撃陣では、和製大砲・岡本の台頭が大きな話題だ。4年目の今季はチームで唯一の全試合出場を果たし、史上最年少となる22歳シーズンでの3割30本100打点を達成。6月以降はチームとしてここ数年振るわなかった4番に座り続け、レギュラーシーズン最終戦では勝ち越しアーチを含む2本塁打を放ち、クライマックスシリーズ進出を決定づけた。若き主砲の打棒は、短期決戦でも他球団の脅威となるだろう。

高橋監督は就任から3年連続で優勝できなかった責任を取り、今季限りで辞任することが決まっている。指揮官を胴上げすべく、一致団結した球界の盟主が、ポストシーズンで一波乱を巻き起こすかもしれない。

※文章、表中の数字はすべて2018年10月10日終了時点

企画・監修:データスタジアム、執筆者:中川 拓樹