47本塁打で初の本塁打王が確実な山川穂高
2018年のパリーグを制した埼玉西武ライオンズ。実に10年ぶりの快挙の中で、開幕から全試合でチームの4番をつとめたのが山川穂高である。本塁打王をほぼ手中に収め、打点王のタイトルには一歩及ばなかったものの、同チームの3番浅村栄斗と最後まで競り合う活躍を見せた。まさに大ブレイクと言っていい成績を残したシーズンだった。
ここで、全試合終えての打撃成績を見てみると、
打率.281(11) 本塁打47(1) 打点124(2) 出塁率.396(5) 長打率.590(2)
※()内数字はリーグ順位
となっている。山川はあるインタビューで、「全打席ホームランを狙っている」と語るほど、本塁打に対する意識が高い選手である。47本もの本塁打を放ち、長打率もリーグ2位と素晴らしいパワーの持ち主である一方で、.280以上の打率、4割近い出塁率も誇っており、パワーだけの選手ではないことがうかがえる。
では、なぜ本塁打を量産し全打席本塁打狙いのスイングをしているにも関わらず、これだけの出塁率を残せたのだろうか。
好球必打で本塁打を量産
その答えは、四死球の多さである。あれだけのスイングをしているにも関わらず四球はリーグ2位の88個、四死球は104個でリーグトップの数字を残している。これは、なんでもかんでも手を出すのではなく、打てるボールを確実に捉えるという「好球必打」ができている証しだろう。
次の打者につなげる意識もしっかり持っているため、警戒されて際どいゾーンに投げられても、手を出さず勇気を持って見送れているのではないかと推測できる。その結果、高い出塁率を残し、打率もそこまで低くならなかったのではないだろうか。
次に、ストライクカウント別の成績を見ると、0ストライク及び1ストライク時のカウントで強さを発揮している。山川は追い込まれる前のカウントで合計38本の本塁打を放っており、これは本塁打数2位柳田悠岐(ソフトバンク)の36本塁打をも上回る本数だ。

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また、各カウント別の数値からファーストストライクを確実に捉えているとともに、1ストライク時でもしっかりとした結果を残していることがわかる。パリーグの他の4番打者と比べても、0ストライク時の打率は柳田の.400を上回っており、1ストライク時の打率も2位と好成績を残している。
甘い球を確実に仕留める技術とパワー
では、甘い球の中でもど真ん中と言われるゾーンの打率と本塁打数についてはどうだろうか。ここで言うど真ん中とはストライクゾーンを上下左右3つずつの計9つに分けた際の真ん中のゾーンのことだ。多くの選手が得意とするゾーンだが、パリーグの4番打者6人の成績を比較してみると、山川の成績はその中でも群を抜いている。

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.565と高打率なのもさることながら、本塁打は6人の中で唯一の2桁となる12本を記録。ど真ん中の甘いボールをきっちりと捉え本塁打にしており、これが今年の好成績につながったといえる。
山川は昨年のシーズン中盤で1軍に昇格し、78試合で23本塁打と活躍した。特に終盤での爆発は見事で、8月に9本、9-10月に10本の本塁打を放ち、今シーズンの活躍が期待されていた。そして、今シーズン1年を通して活躍し、本塁打王のタイトルも獲得。
こうして結果を出すことができたのも、好球必打の姿勢を崩さなかったからだと推測できる。レギュラーシーズンの結果を自信にこのまま短期決戦を駆け上がるとともに、チームを頂点へと導くアーチに期待したいところだ。