「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

日本ハム宮西がホールド新記録 各球団「左キラー」の顔ぶれと意外な特徴

2018 10/4 07:00青木スラッガー
野球ボール,ⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

球界屈指の「左キラー」宮西がホールド新記録を樹立

9月27日、日本ハムのリリーフ左腕・宮西尚生が通算325ホールドのプロ野球新記録を打ち立てた。11年目、33歳にしての達成と、これからどれだけ記録を積み上げていくのか期待がかかる。

宮西といえば、WBCでも活躍した球界を代表するセットアッパーであり、左打者にめっぽう強い「左キラー」として知られている。希少価値が高い左腕の中でも、さらに貴重なサイドハンド。テイクバックで一度背中を向けるような投球フォームは、左打者にとって恐怖を感じるだろう。

宮西の他には現在どんな投手が左キラーとして活躍しているか。各球団の主なリリーフ左腕の対右・左打者別成績を見ていく。

宮西は「右キラー」? パ・リーグの左リリーバーの特徴を探る

パ・リーグ,リリーフ左腕,対右・左打者別成績,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

まずはパ・リーグから。ここで、意外な結果が飛び込んでくる。左キラーのイメージが強い宮西だが、実は右打者への対戦成績の方が良い。右打者への被打率は脅威の1割台前半だ。これだけ右打者を封じこめているリリーフは、右腕でも中々見当たらない。確かにインコースのクロスファイヤーに右打者が苦しめられているシーンをよく見る。宮西は球界きっての「右キラー」ということになる。

昨シーズン途中に育成から昇格しブレイクしたキューバ左腕モイネロも右打者に強い。クローザーの松井裕樹は当然として、他に日本ハム・公文も対左右別で大きく被打率は変わらず、打者の左右に関係なく起用されている。

左キラーとして大活躍しているのは高梨(楽天)、嘉弥真(ソフトバンク)の両変則サイド左腕だ。イニング数を見ても2人は登板数を大幅に下回り、かなり限定的な起用をされていることがわかる。31試合連続無失点を記録した嘉弥真は、対戦のほとんどが左打者。しかし、対戦数はわずかながら、右打者にも1本もヒットを許していない。現在は最強の左キラーと呼べる嘉弥真だが、宮西のようにセットアッパーとして活躍できる力も持っているのではないだろうか。

また、8月からの一軍登場でデータ多くないものの、山田も左打者に強さを見せている。今シーズンは9年目でリリーフに転向。先発としては通算2勝と目立った成績を残せなかったが、左キラーとして生き残る活路を見出してきた。

セ・リーグは能見が新たな持ち場で「左キラー」として存在感

パ・リーグ,リリーフ左腕,対右・左打者別成績,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

セ・リーグでも意外な結果を残している左腕がいる。先発陣を含めて「左腕王国」と呼ばれるDeNA投手陣だが、左腕リリーフ1番手の砂田は宮西と同じように「右キラー」だ。対左打者にはあまり分が良くない対戦成績となっている。

砂田を含め、セ・リーグには左打者に対して限定的な起用をされている左腕が少ない。表のメンバーでは今シーズン限りでの引退を発表した岩瀬くらい。また、対左打者に強さを発揮している投手のタイプもパ・リーグと全く異なる。

パ・リーグはサイドハンドの変化球投手が積極的に対左打者で投入され、その中で高梨と嘉弥真が結果を出している。ところが、セ・リーグは剛腕投手が左キラーぶりを発揮。最速157キロのフランスアが対左打者に驚異的な被打率を残し、最速159キロのロドリゲスも対左打者に強い。2人はシーズン途中に一軍初登場した左腕だ。データが少なく、球威がものすごいだけに、左打者が恐怖感でなかなか踏み込めていないのかもしれない。

もうひとり「左キラー」として、おもしろい存在となっているのがかつての左腕エースである能見だ。ここ数年は先発で勝ち星が伸びず、今シーズンも序盤に先発で結果を残せなかった。そこでリリーフ転向となり、左打者を封じ込めて新たな持ち場で存在感を放っている。

阪神はこれから連戦が続き大変な時期となるが、セ・リーグはCS進出圏の3位争いが佳境だ。総力戦の展開では、能見のような左打者を封じ込めている左腕が、マシンガン継投で送り出される展開も増えてくるだろう。CS、そして日本シリーズと、1試合も負けられない戦いが続く10月のプロ野球。「一人一殺」でチームを勝利に導く左キラーたちの活躍に期待したい。

※成績は2018年10月2日終了時点。