「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ヤクルト宮本、巨人田中俊 下位指名から下克上を目論む選手たち

2018 9/29 13:00勝田聡
バッター,ⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

宮本丈は来季レギュラー争いへ殴り込み

今シーズンのペナントレースも残すところあとわずかとなった。10月に入ればクライマックスシリーズが始まり、そしてフィナーレとして日本シリーズも開催される。

昨年のドラフト会議で指名を受け、プロ入りを果たしたルーキーたちも一軍、二軍と戦う場所はそれぞれだが、もうすぐ1年を戦い切ることになる。その中で下位指名ながら、指名順位の低さを跳ね返そうと、一軍で奮闘する選手たちがいる。

まず取り上げたいのが、ヤクルトの宮本丈だ。全国的には無名の奈良学園大時代には、侍ジャパン大学日本代表にも選ばれた逸材だ。独特な打撃フォームから安打を量産しており、上位候補とも目されていた。しかし、なかなか名前が呼ばれることはなく、呼ばれたのは指名を終えている球団もあった6巡目だった。

その低評価を覆すかのように宮本は開幕からファームで打ちまくる。だが、相手チームに研究されたためか、徐々に成績は下降線を辿った。そこで、現状を打破するために慣れ親しんだフォームに別れを告げ、打撃改造に着手した。

その甲斐あってか、7月のファーム月間打率.317(63打数20安打)と3割超を記録。そして8月半ばには2度目の一軍昇格を勝ち取った。6月の一軍昇格時には仕事ができなかったが、この昇格ではプロ入り初安打、初打点をマークする。

9月12日の巨人戦では1点ビハインドの9回表に同点犠飛を放てば、9月25日の中日戦では延長戦で大きな2点適時打を記録。ドラフト時の評価は低かったが、1年目から立派な戦力として機能している。

三塁をはじめとした内野として起用されている守備面ではまだまだ粗さもある。今シーズンの経験を糧に来シーズンはレギュラー候補として、ポジション争いに加わっていきたいところだ。

【宮本丈・今シーズン成績】
26試合/打率.220(41打数9安打)/0本/6打点

田中俊太はセ・リーグトップの出場試合数

長らく巨人の「泣き所」でもあった二塁のポジション。今シーズンは2016年ドラフト1位の吉川尚輝が開幕スタメンを勝ち取り、ようやく埋まったかに見えた。しかし、8月1日の試合中に骨折し、戦線離脱となってしまう。その危機を救ったのが2017年ドラフト5位の田中俊太だ。

ホルヘ・マルティネスらと併用されながらではあるが、二塁のポジションで起用され結果を残してきたのである。現在はスタメン、代打、代走と役割は様々だ。そのなかで93試合に出場し打率.227(203打数46安打)と1年目にしてはまずまずの成績を残し、貴重なサブとしてチームに貢献している。

ドラフト5位ながらセ・リーグの新人では出場試合数はトップ。また、打席数は神里和毅(DeNA/273打席)に次いで、2番目に多い232打席。その結果からも期待されていることがよくわかる。

その他にも西巻賢二(楽天6位)、清水達也(中日4位)、山本拓実(中日6位)といった高卒ルーキーが出番を勝ち取っている。

アマチュア時代の評価では清宮幸太郎(日本ハム)や村上宗隆(ヤクルト)に及ばなかったが、プロの世界に入ればスタートは横一線。下位指名からの下克上に期待したい。

<主な下位指名選手の成績>
田中俊太(巨人)
93試合/打率.227(203打数46安打)/1本/9打点

西巻賢二(楽天)
25試合/打率.247(77打数19安打)/0本/3打点

清水達也(中日)
2試合/0勝0敗/2奪三振/防御率9.00

山本拓実(中日)
1試合/0勝0敗/3奪三振/防御率0.00

※数字は2018年9月27日終了時点