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「守」で西武を牽引する源田壮亮 遊撃手のシーズン補殺記録更新へ

2018 9/25 12:01青木スラッガー
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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投手難の西武を支える「堅い守り」その中心となる遊撃手・源田壮亮

圧倒的な打撃力でパ・リーグ王者へ突き進む西武。一方で、チーム防御率はパ・リーグ唯一の4点台と投手力には不安を抱える。いくらリーグナンバーワンの攻撃力があるとはいえ、投手力がリーグワーストでは安定した戦いは難しいように思えるが、それでも開幕からここまで首位をキープしているのは、野手陣の「守備力」によるところが大きいのではないだろうか。

その堅い守りの中心となっているのが、遊撃手の源田壮亮だ。ルーキーの昨シーズンは143試合フル出場を果たし、文句なしの新人王を獲得した俊足巧打のショートストップ。今シーズンも不動の2番打者を務め、攻撃においては重量打線の中で貴重な「つなぎ」役として欠かせない存在となっている。

現時点の源田の打率は.271。負担の大きい遊撃手のポジションでフル出場を続ける中では、及第点といえる数字だろう。打撃面では1年目からあまり変わらない成績だが、その遊撃手の守りにおいて、今シーズンの源田は飛躍的な進化を遂げた。

2年目で源田の守備成績は格段に向上

1年目も源田はルーキーとして十分すぎる遊撃守備を披露した。盗塁王を争う俊足と華麗なハンドリングで、両リーグ全ポジショントップのシーズン481補殺をたたき出している。

「補殺」とは打球や送球を捕球し、いずれかのベースに送球にして(打者)走者をアウトにすること。内野手の場合、多くは内野ゴロを捌いて記録されるもので、補殺トップだった源田はそれだけ守備範囲が広かったということになる。しかし、失策は遊撃手として両リーグ最多21個、守備率もワーストの.971と、投手が打ち取った打球をアウトにし損ねるシーンも多かった。

しかし、今シーズンは現時点で失策がパ・リーグ遊撃手で2番目に少ない8個、守備率はリーグトップの.989を記録。安定感が格段に向上したといえる。さらに注目すべきは、同時に補殺、併殺参加の数が133試合時点ですでに昨シーズンを上回っていることだ。

「失策数」は選手の守備評価において判断が難しい数字だ。守備範囲が狭ければ、失策を犯すリスクも低くなる。逆に守備範囲が広く追いつく打球が増えれば、失策のリスクは高くなってくる。そういう意味で、大幅に失策を減らし、かつ、補殺を増やしている源田の守備は、たった1年で相当なレベルアップをしているということになる。

西武ライオンズ,源田壮亮,ⒸSPAIA

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遊撃手のシーズン補殺記録「502」更新は目前

133試合時点の併殺参加102回は、中日・京田陽太の83回を引き離し、遊撃手として両リーグダントツの数字だ。さらに恐ろしいのは既に492を数える補殺数。遊撃手の歴代シーズン補殺記録は1948年に中日・杉浦清が記録した「502」である。源田は1試合あたり3.7の補殺を稼いでおり、143試合換算なら約529補殺となる。このままいけば、あと数試合での記録更新が確実だ。

全ポジションでの歴代最多補殺記録は、2014年に広島・菊池涼介が二塁手としてたたき出した535補殺。当時はかなり話題になった印象だが、この記録更新も不可能ではない。

セイバーメトリクスのデータにも貢献度の高さはしっかり表れている。プロ野球のデータ分析・研究を行っているDELTA社によると、「平均的な同ポジションの選手と比べて、失点をどれだけ防いだか」を表す「UZR」(アルティメット・ゾーン・レーティング)という指標において、源田は両リーグ遊撃手で唯一の2桁台となる29.0を記録。今シーズンの源田が、遊撃手として球界ナンバーワンの守備力を誇っていることは疑いようがないだろう。

また、試合をよく見ていると、数字には表れないところで1年目から大きく変わった部分があることに気付く。昨シーズンはルーキーということもあり、自分から投手に声をかけに行くシーンが少なかった。しかし今シーズンはそういった遠慮もなくなり、タイミングよくマウンドに行って間を取れるようになった。

セイバーメトリクスのデータが示すように、絶大な貢献度を誇る源田の守備だが、こういった細かなところでの貢献も見逃せない。プレーでも精神面でもチームを支える内野の「要」として、若き名手が10年ぶりのリーグ優勝、そして日本一へチームを引っ張っていく。

※成績は2018年9月24日終了時点