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「急造守護神」ヤクルト石山、ホークス森 初のセーブ王に期待

2018 9/22 11:00青木スラッガー
グローブ,
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セ・リーグのセーブ王争いがデッドヒート

レギュラーシーズンが終盤に差しかかり、白熱する順位争いに加えて、タイトル争いからも目が離せない時期になってきた。特にセ・リーグのセーブ王争いは候補者が乱立し、デッドヒートの展開を迎えている。

現在トップを走るのは31セーブのDeNA・山﨑康晃だ。今シーズンは開幕すぐに日本人最速の通算100セーブを達成し、球界を代表する守護神に成長しつつある。昨シーズンのセーブ王である阪神・ドリス、2シーズンぶりにクローザーへ返り咲いた広島・中﨑翔太も僅差で山﨑を追う。

そして経験豊富な実力者たちのタイトル争いに割って入っているのが、シーズン途中からヤクルトの守護神に定着した6年目の石山泰稚だ。

最も安定感のある「急造守護神」のヤクルト石山

石山は63登板で、29セーブ、防御率2.06。タイトルを争うクローザー陣の中で最も安定感のある成績を残している。セーブ数としては4人が2セーブ差以内で、残り試合数を考えるとドリスが有利にも思えるが、直近の登板結果を見ても今一番状態が良いのは石山である。

セ・リーグセーブ数,SPAIA

ⒸSPAIA

石山は社会人のヤマハ出身で、2013年のルーキー年から即戦力として60登板し、この年10セーブをマーク。リリーフの一員としてチームに貢献する中、チーム事情で一時的なクローザーも任された。2年目以降の3年間は故障の影響もあり、1年目のような活躍を残せなかったものの、昨シーズンは4年ぶりに66登板・24ホールドと復活を果たした。そうしてセットアッパーとして大きな期待を寄せられて開幕を迎えたのが今シーズンだ。

今シーズンは開幕直後から安定感抜群の投球でその役割を果たしていたところ、新外国人クローザーのカラシティーが結果を残せず先発に転向。調子の良いセットアッパーに代役が回ってくるのは自然な流れで、4月下旬から配置転換となった。

クローザーに抜擢された当初は、続けて打たれるシーンもあった。山﨑らが4月終了までに9セーブをマークする中、石山はそのときまだ2セーブだ。だが、ゴールデンウィークを明けると交流戦終了まで16試合連続無失点を記録するなど好投を見せ、ここまでセーブを量産した。

パ・リーグも「急造守護神」がセーブ王争いに参戦

パ・リーグにも、「急造守護神」からセーブ王争いに食い込む投手がいる。昨シーズンは強固なリリーフ陣の一員として日本一に貢献したソフトバンク・森唯斗だ。

本来の予定では、ソフトバンクの9回のマウンドには昨シーズンまで3年連続セーブ王、球界ナンバーワン守護神のサファテが君臨するはずだった。ところが、4月初旬に下半身の故障でチームを離れ、現在まで復帰は果たせず。そこでプロ入りから昨シーズンまで55登板以上を4年間継続していたタフな男に白羽の矢が立った。

森も石山と同様に序盤はセーブを稼げず、4月終了まで3セーブしか挙げることができなかった。しかし5月は7セーブと勢いに乗ると、8月は13登板で8セーブ、防御率1.54という圧巻の投球で首位西武を猛追する快進撃の立役者となった。

パ・リーグのセーブ数トップは日本ハムからオリックスへFA加入した増井浩俊。しかし残り試合数では森に分がある。現在セーブ数の差は2で、残り試合数が6も違うのは大きいだろう。

パ・リーグセーブ数,SPAIA

ⒸSPAIA

「価値の大きい」逆転セーブ王へ

今や代わりのいない守護神に定着した石山と森。このセーブ数でシーズン終盤の時期になっても「急造守護神」という言葉を使うのは失礼かもしれない。しかし、シーズン途中のクローザー転向からセーブ王争いに食い込んでいるのは、もっと注目されるべきことではないか。ここから逆転してセーブ王獲得となれば、そのタイトルが持つ価値は非常に大きい。

両者とも今までタイトルの獲得歴はない。ライバルとなるのは山﨑、増井らクローザー経験の長い猛者たちだ。「急造守護神」2人は彼らをはねのけ、嬉しい初タイトル奪取となるか。両リーグで過熱するセーブ王争いから目が離せない。

※成績は9月20日終了時点