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ヤクルトを押し上げた「伏兵」たち 2位確定へ欠かせない控え組の活躍

2018 9/19 07:00青木スラッガー
バッターⒸShutterstock.com
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躍進する伏兵ヤクルトの「伏兵」たち

今シーズンのセ・リーグにおいて「伏兵」と呼ぶのがふさわしいヤクルト。8月下旬から2位の順位をキープし、CS争いの中心に。レギュラーシーズンも残り少なくなり、神宮でのCS開催は現実的な目標となってきた。

昨シーズンはチーム史上ワースト「96敗」という屈辱を味わい、2015年のチームをリーグ王者に導いた真中満監督は辞任に追い込まれた。どん底のチームが立ち直った一番の要因は、スタメン野手陣の頑張りだった。

山田哲人の完全復活、雄平の復帰、西浦直亨のブレイク、そして青木宣親の電撃加入。こういったプラスの変化が重なり、昨シーズン4人だった規定打席到達者は現時点で6名、正捕手の中村悠平も加えると7名がレギュラーでチームを引っ張っている。

しかし彼ら主力陣だけではなく、ベンチから出番を伺う「伏兵」たちの活躍も今シーズンのヤクルトの躍進に欠かせないものであった。

「3人の伏兵」が勝利を呼び込んだ9回6点差の大逆転劇

象徴的だったのが、奇跡的な大逆転劇を演じた9月4日神宮の中日戦。6点差を9回裏で追いつき、延長11回でサヨナラ勝利。実はこの試合、先発した小川泰弘が6失点、山田・バレンティンが計8打数1安打と中心選手が振るわなかった。

そんななか勝利を呼び込んだのだは、今シーズンは控えに回り中盤戦は二軍落ちも味わったFA加入の大引、8月31日に一軍初昇格し今シーズン2打席目で一発の武内、序盤から継続的に出場はしているものの役割は途中出場のスーパーサブ、打撃でスポットライトが当たることは決して多くない上田の3伏兵だった。

まずは6点を追う二回、大引啓次のソロ本塁打で反撃スタート。再び6点差で迎えた9回、代打で登場したベテラン武内晋一が4年ぶりの一発となる2ランを放つと、大引からこの日3安打目となるタイムリー二塁打が出て同点に追いつく。そして延長11回、途中出場の上田剛史がサヨナラ3ランを放って試合を決めた。

定期的だが、このように控え組が大仕事をやってのける試合をする印象がある近年のヤクルト。昨シーズン7月には、セ・リーグ66年ぶりの10点差逆転勝利を飾った。試合の決着をつけたのは、ロッテ戦力外から加入した大松尚逸の、シーズン2度目となる代打サヨナラ本塁打だった。昨シーズンは日本ハム戦力外から入団した鵜久森淳志も、代打満塁弾を含む2本のサヨナラ打を放っている。

ドラ6宮本の活躍、ドラ1村上の衝撃デビューも 次の伏兵は……

今シーズン、序盤好スタートの背景には、5月4日広島戦で満塁弾を放った9年目31歳の荒木貴裕をはじめ、巨人から人的補償で加入した奥村展征や、西武戦力外の田代将太郎といった伏兵の活躍がところどころにあった。

中盤は負けが込んだ時期もあったが、それを脱するきっかけとなったのは一軍と二軍を行ったり来たりが続く6年目の谷内亮太だ。7月16日DeNA戦で谷内が決勝タイムリーを放ち連敗を8で止めると、7月後半は9勝3敗とチーム状況を持ち直した。

最近は、名手の「宮本(慎也、現ヘッドコーチ)2世」と密かに期待されるドラフト6位ルーキー宮本丈が良い仕事を見せている。接戦を制した9月8日DeNA戦は8回に同点タイムリー二塁打。12日巨人戦では9回に同点犠牲フライを放ち引き分けに持ち込んだ。

そしてルーキーといえば、先日ついに満を持して神宮に登場した高卒競合ドラ1の村上宗隆。日本ハムの清宮幸太郎と並んでイースタン2位タイの17本塁打をマークし、9月16日広島戦の一軍初昇格初打席で本塁打デビュー。一方で大松や鵜久森、比屋根渉といった今シーズン出番が少ないベテラン勢も、このままで終わるつもりはないはずだ。

シーズンも大詰め。残り試合は少ないが、最後の順位争いやCSは一打でヒーローになれるチャンスだ。次にチームを勝利に導く伏兵は誰になるだろう。

※成績は9月17日終了時点