2015年には野茂以来のノーヒッターを達成
メジャーリーグのシアトルマリナーズで活躍する岩隈久志が、今シーズン限りでチームを退団することがわかった。
岩隈は海外FA権を用い、2012年に楽天からマリナーズへと移籍する。初年度(2012年)は中継ぎでの起用も多く、30試合に登板したが先発としては16試合にとどまった。だが、決して腐ることなく9勝5敗、防御率3.16の好成績を残すと、翌年からは先発ローテーションに加わっている。
その後は「キング」ことフェリックス・ヘルナンデスとともに2枚看板としてチームを支え、3度の2桁勝利を挙げチームに大きく貢献した。また、2015年には日本人選手として、野茂英雄以来となるノーヒッター(ノーヒットノーラン)を達成。
ところが、昨シーズン途中に肩を痛めシーズン最終盤に手術を受けている。その影響もあり、今シーズンはメジャーでの登板がないまま退団となりそうだ。

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古巣楽天が受け入れ体制
報道によると日本球界復帰が既定路線となっており、古巣である楽天が迎え入れる体制を整えていると立花陽三球団社長もコメントを出した。現時点では楽天に復帰し、あと30勝に迫った日米通算200勝を目指すことになりそうだ。
2005年から2011年までの7シーズンを楽天のエースとしてプレーしてきた。とくに2008年には21勝(4敗)、防御率1.87の成績を残し、最多勝、最優秀防御率、最高勝率を獲得し、沢村賞、MVPも受賞。タイトルを総なめにした実績もある。来シーズン8年ぶりの復帰となれば、東北のファンも温かく受け入れてくれるはずだ。
その岩隈だが、プロ入りは楽天ではなく近鉄だった。2004年の球界再編騒動により球団は消滅し、現在は数少なくなっている元近鉄戦士。2018年シーズンにNPB・MLBで現役を続けているのは坂口智隆、近藤一樹(ともにヤクルト)、そして岩隈の3人しか残っていない。
近鉄戦士たちはヤクルトで今シーズンも活躍

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坂口は2002年ドラフト1巡目で神戸国際大付高から近鉄に入団する。なかなか結果が出なかったが、オリックスとなった4年目のシーズンである2008年にレギュラーを獲得すると、2011年には最多安打のタイトルを獲得。球界を代表する選手へと成長した。
しかし、度重なる故障もあり2015年オフに自由契約を経て、ヤクルトへ入団。崖っぷちの状態から復活した坂口は2016年、2017年ともにレギュラーとして3割近い打率を残し、チームに大きく貢献した。今シーズンは青木宣親の加入、畠山和洋のコンディション不良もあり、本職ではない一塁での起用が続くが、首位打者争いに加わるほどの活躍を見せている。
近藤は日大三高で夏の甲子園を制し優勝投手の実績をひっさげ、2001年ドラフト7巡目で近鉄へと入団。2008年に2桁勝利を達成したものの、その後は故障により育成落ちも経験し、大きな実績を残すことができなかった。2016年シーズン途中に交換トレードでヤクルトへと移籍。昨シーズンは中継ぎとして、キャリアハイの54試合に登板。今シーズンもセットアッパーとして勝利の方程式を担っている。
ともに近鉄~オリックスを経て、ヤクルトでベテランとなった今シーズンも戦力として大きく貢献している坂口と近藤。怪我で不本意なシーズンはあったが、それを乗り越えてきた。
そして、怪我で苦しい時期を乗り越えたからこそ今がある岩隈。来シーズン日本球界に復帰し、再び好投を見せてくれることに期待したい。残り少ない近鉄戦士たちの活躍は、往年のファンを喜ばせるだろう。
※数字は2018年9月13日終了時点