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大田、高橋周、平沢が主力定着へ 飛躍する3人の「高卒競合ドラ1野手」

2018 9/16 07:00青木スラッガー
野球ボールⒸShutterstock.com
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3球団競合ドラ1・高橋周平がついにレギュラー定着

レジェンド立浪和義の背番号「3」を継承するも、なかなかレギュラー定着が縁遠かった大器。ついに覚醒を見せた今シーズン、中日の正二塁手の座を掴んだ24歳の高橋周平。

8月30日のDeNA戦、高橋は8回に相手セットアッパーのパットンから右翼スタンドへ一発を見舞い、プロ入り初のシーズン2桁本塁打を達成した。26日の広島戦では1試合2本塁打、8月は計6本塁打をマークし、開幕から何とか食らいついていた正二塁手の座を、一気に自分のポジションへ手繰り寄せた。

東海大甲府高出身の高橋は、3年間で甲子園出場が果たせなかったにも関わらず、2011年ドラフトで3球団から1位指名を受け中日入り。入団時の期待値の高さを考えると少し時間がかかった印象はあるが、定位置を掴んだ今後は競合ドラ1として「ものが違う」というところを見せてほしい。

2球団競合ドラ1の大田泰示、平沢大河も飛躍のシーズン

今シーズンは、高橋の他にも「高卒競合ドラ1野手」の飛躍が目立っている。そのひとりが、日本ハムで「強打の2番」に定着した大田泰示だ。

2008年ドラフトで2球団競合指名を受け、東海大相模高から巨人入りした大田。松井秀喜のメジャー挑戦以降、背番号「55」を初めて継承するほど期待された。しかし8年間で9本塁打と結果を残せず、8年目終了で日本ハムへトレード移籍となった。

移籍後は1年目から15本塁打を放ち、ブレイク。移籍2年目となる今シーズンは、6月終了までに13本塁打と開幕から好調だ。左手に死球を受けて骨折するまでは、文句なしで主軸レベルの打撃を見せていた。

2015年ドラフトの2球団競合ドラ1で、今シーズンレギュラーを掴みかけているのはロッテの平沢大河だ。仙台育英高時代には、3年夏の甲子園で3本塁打を放つなど世代屈指のスラッガーとして名を馳せた逸材だ。

6月頃からスタメンに入り始めたが、当初はあまりヒットを残せなかった。しかし、3割半ばの高出塁率から主に9番で起用され続けると次第に当たりが出るようになり、最近は1・2番の上位打順も任されている。 9月7日の西武戦では、菊池雄星の直球を右翼スタンドへ運ぶ豪快な2ランを放ち、5日のソフトバンク戦でも一発と、今季既に3本目。昨シーズンまでは打率1割台に終わるシーズンが続いたが、今シーズンは確実に打撃で成長を見せており、本格覚醒を予感させている。

「高校生野手の競合1巡目指名」は9年間で3名のみ

「高校生野手」に人気が殺到するという珍しい入札結果だった昨年のドラフト会議。7球団から指名を受けた清宮幸太郎の他、外れ指名を含めて4人の高校生野手が競合指名。高校生と大学・社会人の分離ドラフトが終了し、現行の制度に切り替わった2008年以降、競合1位指名を受ける高校生野手が複数名出たのは、昨年が初めてだった。

2008年から2016年のドラフト会議までは、競合1位指名を受けた高校生野手は4名しかいなかった。今や球界を代表する二塁手にまで成長した、ヤクルトの山田哲人もそのうちの1人だ。1年目にCSスタメン出場を果たし、プロ入り後すぐに活躍。3年目途中からはレギュラーとなり、5年目にはトリプルスリー達成と、あっとういう間にスターへの階段を駆け上がった。

ただし、山田は外れの2球団競合指名。1巡目で競合指名を受けた高校生野手は、9年間で大田、高橋、平沢の3名のみだ。筒香嘉智や今宮健太、森友哉でも勝ち取れなかった「高校生野手の競合1巡目指名」。最高の評価を勝ち取った彼らのポテンシャルが、今後はどう形付いていくのか楽しみだ。