先発復帰で好投を続ける原樹理
2015年ドラフト1位でヤクルトに入団した原樹理はルーキーイヤーからローテーション投手としての期待は大きかった。しかし、昨年までの2年間はこれといった結果を残すことができず、苦しんでいた。
今シーズンも原は開幕ローテーション入りを果たしたものの、結果を残すことができず、一時的に中継ぎへと配置転換されたほどだ。
しかし、その中継ぎで11試合連続無失点と好投を見せ、後半戦から再び先発へと戻ると、ここまでに3勝をマーク。敗れた試合も自責点はともにわずか「1」と生まれ変わったかのような投球を見せている。
コンディション不良で一時登録抹消されたが、9月7日のDeNA戦で一軍復帰。敗戦投手にはなったが、7回1失点でキッチリと試合を作った。この試合で印象的だったのが、七回の投球だ。三連打を浴び1点を失い、なおも1死一、二塁とピンチが続いたが、気迫のこもった投球で2者連続三振に切って取り、ガッツポーズをみせたのだ。
今後はクライマックスシリーズ出場争いがますます激しくなる。原の右腕にかかる期待は大きい。
本塁打を打たれなくなった原樹理
今シーズンが3年目となる原だが、なにが変わったのだろうか。守備に影響されない投手の能力を測るために与四球率BB/9(1試合あたりの与四球数)、奪三振率K/9(1試合あたりの奪三振数)、被本塁打率HR/9(1試合あたりの被本塁打数)の3項目を比べてみる。
まず、BB/9とK/9については、昨年の数値とさほど変わらない。一方で、大きく変わったのがHR/9だ。ここまで96.2回を投げ被本塁打はわずかに「3」。HR/9が昨シーズンの1.3から0.28へと大幅に下がったのである。
この0.28という数字をチーム内で比較してみると、開幕からローテーションを守るブキャナンは0.94、小川泰弘は0.68、そして石川雅規は1.53とヤクルト先発投手陣の中ではトップの数値を誇ることがわかる。
では、チーム内ではなくリーグで比較するとどうだろうか。原が96.2回と規定投球回に到達していないため、投球回数が90回以上の選手を対象にHR/9を算出した。 そのなかでも原の0.28はトップの数字である。ちなみに2位はランディ・メッセンジャー(阪神)の0.47、そしてクリス・ジョンソン(広島)の0.51と両助っ人外国人選手が続いている。原のHR/9は、日本で実績を残しているエース格の外国人助っ人をも凌いでいるのだ。
※投球回数90回以上の投手が対象
先発に復帰した後半戦以降で見ると47.2回を投げ被本塁打はわずかに1本。投球回数が少ないため、あくまで参考値となるが、HR/9は0.19と約5試合に1本しか本塁打を許さないことになる。神宮球場という本拠地が狭いヤクルトでこの数値は驚異的だ。
今後ローテーション通りなら、原は残りシーズンでの登板は4試合が濃厚。そこでも本塁打を浴びない投球を継続することができるだろうか。本塁打を打たれなくなった原樹理の今後に注目したい。
※数字は2018年9月9日終了時点