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楽天2年目・田中和基が打って走る! シーズン換算ならトリプルスリーも

2018 9/4 13:00青木スラッガー
ⒸShutterstock.com
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「トリプルスリーに近い男」楽天・田中和基

ヤクルトの山田哲人が30本塁打30盗塁に到達。自身3度目のトリプルスリーに向け視界良好だ。また、ソフトバンク・柳田悠岐も盗塁がここまで20個と30に届くかギリギリのところだが、2度目のトリプルスリーの可能性を残している。今シーズン、トリプルスリーに届きそうなのはこの2名。では、来シーズン以降、この偉業を期待できる選手は他にいるだろうか。

山田、柳田以外で「トリプルスリーに近い男」として、ここでは楽天2年目のスイッチヒッター・田中和基に注目したい。

今シーズンの田中は開幕直後に二軍落ちするも、大谷翔平を参考にしたノーステップ打法を身に着け、5月下旬に一軍復帰してからは中堅手のレギュラーに定着。今では、不動のリードオフマンを任されている。昨シーズンは51試合でわずか6安打に終わったが、今シーズンはすでに91安打を記録。野手ではパ・リーグ新人王候補として名前があがるほどの活躍だ。

特に8月は絶好調だ。28日・29日西武戦で2試合連続本塁打を放ち、これで8月は7本塁打となった。現時点(2018年9月2日終了時)のシーズン成績は打率.286・16本塁打・19盗塁。トリプルスリー3部門の成績をバランス良く着実に伸ばしてきている。

80試合で16本・19盗塁 143試合換算なら「ほぼトリプルスリー」

田中の他にも、3割・30本塁打・30盗塁に迫る成績を残している選手が何名かいる。しかしその中でなぜ田中が「トリプルスリーに最も近い男」といえるのか。今シーズンの成績から、主なトリプルスリー候補者を下記に並べる。

プロ野球,トリプルスリー

ⒸSPAIA


山田と柳田以外で、3部門の成績を最もバランス良く残しているのは西武の外崎となるだろう。田中と比較すると、打率、本塁打、盗塁すべてで上回っている。しかし、ここで注目すべきは試合数だ。田中は前述のように5月下旬からレギュラーに定着したため、まだ80試合の出場にとどまっており、試合数が約3分の2しかない中、外崎に迫る数字を残している。

現時点の成績を143試合換算すると、打率.286、29.7本塁打、35.2盗塁。今シーズンの田中は、限りなくトリプルスリーに近いペースで打って走っているのだ。

シーズン残り試合はあまり多くない。夏場から本塁打量産態勢に入っているとはいえ、30本到達は絶望的だろう。だが打率3割超えと30盗塁は、まだ十分狙える。来シーズン以降のトリプルスリー達成への足掛かりに、今シーズンはこの二つを何とか達成しておきたいところだ。

梨田監督の置き土産 「トリプルスリーを狙える」田中

今シーズン、田中が一軍復帰してスタメンに抜擢されたのは5月24日オリックス戦。この試合で2安打1盗塁と結果を残すと、26日ソフトバンク戦で2安打1本塁打1盗塁、27日同カードで3安打1本塁打と大暴れし、一気にレギュラーの座を手繰り寄せた。「1番・中堅手」に固定となったのは6月12日から。しかしその直後、チームの成績不振により、田中を抜擢した梨田昌孝監督は辞任を余儀なくされる。

田中のリードオフマン定着が、梨田監督がチームに残した最後の置き土産となった。ルーキーイヤーから度々「トリプルスリーを狙える」と口にして、田中の打力と走力を高く評価していた前指揮官。その期待は「将来的に」という前提付きのものだっただろうが、もうすでに、2年目のスイッチヒッターはトリプルスリーが現実的なところまで自身のレベルを飛躍させている。

スイッチヒッターとしては、昨シーズンの1年間だけチームメイトだった松井稼頭央しか達成していないトリプルスリーの偉業へ。開幕からスタメンが望める来シーズン、3年目の田中にかかる期待は大きい。