清宮に劣らぬ二軍成績を残す
3度目の一軍昇格を果たし、好調の清宮幸太郎。8月21日の昇格初戦から2試合連続本塁打を放つと、8月25日の試合でもあわやサイクル安打となる猛打賞の活躍を見せ、その順応力の高さを見せている。
プロ1年目の活躍に世間の注目が集まっているが、ヤクルトのファームにも清宮に劣らぬ成績の高卒ルーキーがいる。ドラフト1位の村上宗隆だ。村上は2回目の入札で清宮の抽選に外れたヤクルト、巨人、楽天の3球団が競合した逸材だ。これまで89試合で打率.290、15本、63打点の成績を残しており、6月にはファームの月間MVPも受賞している。
本塁打こそ清宮の17本に及ばないが、打率、出塁率は清宮を上回っている。もちろん、ファームでの成績が一軍の成績に直結するわけではなく、そこには「一軍の壁」がある。今は一軍未出場の村上だが、清宮を超える存在となる可能性を秘めているのは事実だ。
チーム内の先輩たちを凌ぐ数値
ファームで好成績を残している村上だが、チーム内の各先輩たちはどのような成績を残していたのだろう。高卒生え抜きで主力となった山田哲人、川端慎吾、畠山和洋のルーキーイヤーと比較してみた。
シーズン中ということもあって村上の成績は確定していないが、多くの項目で先輩たちを上回っている。特に本塁打数は15本と山田哲(5本)や畠山(11本)を大きく超えている。また、四球も多く、出塁率も.391とあと少しで4割に迫り、川端より1割以上も高い数値を残している。また16盗塁をマークしており、足も使えるところをみせている。
三振率は19.4%と先輩たちに比べやや高めだが、日本の4番でもある筒香嘉智(DeNA)の三振率も1年目は22.6%(451打席・102三振)だった。
8月8日以降は欠場しているが、15本塁打はリーグ3位、16盗塁はリーグ4位だ。1977年の庄司智久(巨人)以来となる本塁打王、盗塁王の二冠にも期待がかかる。(1977年の庄司は本塁打王、打点王、首位打者、盗塁王の4冠を達成)
【村上とチームの主力選手との比較】

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山田哲人と同じポストシーズンでのデビューはあるか?
気になるのが一軍昇格の時期だろう。こればかりは成績だけでなく、チーム事情にも左右されるため、現時点でハッキリとはわからない。
ヤクルトは現在、巨人や阪神らとクライマックスシリーズ出場争いを繰り広げており、高卒ルーキーを「お試し」できる余裕があるのかは皆無だ。あるとすれば、順位確定後の数試合だろう。ちなみに昨年は、高卒ドラ1ルーキーの寺島成輝投手がシーズン最終盤に、一軍初登板を果たしている。
もしかしたら、2011年に史上初めて一軍未経験の新人としてポストシーズンに出場を果たした山田哲のように、一軍公式戦出場なしでクライマックスシリーズの出場を勝ち取る可能性もある。山田哲はこれにより、安打も失策も公式戦以上の緊張感を持ちながら大舞台で記録している。
あれから7年経った今シーズン、村上も同じ道を辿るかもしれない。8月8日以降試合出場していないことが気になるが、シーズン終盤、もしくはクライマックスシリーズで衝撃的なデビューを果たす村上に期待したい。
※数字は2018年8月25日終了時点