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今から2年前となる2016年のドラフト会議は田中正義（創価大→ソフトバンク）、佐々木千隼（桜美林大→ロッテ）に大きな注目が集まっていた。
高卒組では、寺島成輝（履正社高→ヤクルト）、藤平尚真（横浜高→楽天）、今井達也（作新学院高→西武）、堀瑞輝（広島新庄高→日本ハム）といった甲子園を沸かせた投手たちが1位指名を受けた。ドラフト1位の各選手をはじめ、高卒で入団する選手たちは｢即戦力｣というよりも数年後のエースや主力としての期待が強く、1年目から一軍でバリバリ活躍するケースは多くない。1年目は身体をつくりながら、プロの水に慣れるというのが最重要項目となるからだ。
ようやくプロに馴染んできた今シーズン、高卒2年目の選手たちが続々と一軍で結果を残しつつある。先日は堀と藤平が先発で投げ合い注目を集めた。また、今井も6月13日にプロ初登板初先発初勝利をマークし、先発ローテーションに入りつつある。
プロ入り前から注目されていたドラ1高卒選手たちが結果を出しつつある一方で、下位指名からプロへと飛び込み、好結果を残している高卒選手も数多く見られる。
その筆頭格がオリックスから4位で指名された山本由伸（都城高）だ。ドラフト前から九州地区では名が知られており、梅野雄吾（九産大九州高→ヤクルト）や浜地真澄（福岡大大濠高→阪神）らとともに｢九州四天王｣とも呼ばれていた。しかし、今井や藤平と並んでの1位指名というほどの存在ではなく、あくまで｢素材型の下位指名候補｣という位置づけだったのである。それが4位という指名結果にも表れている。
昨シーズン、その山本は一軍で5試合に登板し1勝1敗、防御率5.32と高卒1年目にしては上々の成績を残した。そして2年目となる今シーズンは、セットアッパーとして活躍。オールスターゲームにも監督選抜で選出され、ここまで43試合に登板し4勝1敗1セーブ、26ホールド、防御率2.34とドラフト下位指名から2年で、勝利の方程式に組み込まれたのだ。また、新人王レースでもトップ集団に位置しており、今後の登板にも注目が集まる。
東邦高からドラフト5位で地元中日へ入団した藤嶋健人も結果を残している。藤嶋は昨シーズン一軍での登板機会はなく、今シーズン4月に一軍のマウンドへ登り、中継ぎとして好投を続けていた。そして、名前が大きく知れ渡ったのがセ・パ交流戦の西武との一戦だ。
この試合は松坂大輔が先発予定だったが、スタメン発表後にアクシデントがあり、先発を回避。急遽藤嶋が先発することになったのだ。試合開始15分前に先発を言い渡された藤嶋は、これがプロ入り初の先発マウンド。突然の登板にも関わらず、強力西武打線を6回2失点に抑える好投を見せ、嬉しいプロ初勝利をマークした。
その後の登板では打ち込まれるシーンもあったが、8月12日のヤクルト戦では7回無失点の好投。白星こそつかなかったが、堂々の投げっぷりを見せ、先発ローテーション入りへ大きなアピールとなった。
ここまで14試合に登板し1勝1敗、防御率3.79は高卒2年目としては上々の数字と言える。ここ数年ドラフト1位で入団した小笠原慎之介（2015年）や柳裕也（2016年）たちに負けじと、結果を残すことを期待したい。
山本、藤嶋の他にも高卒2年目で一軍のチャンスを掴んだ選手たちがいる。才木浩人（須磨翔風高→阪神）や種市篤暉（八戸工大一高→ロッテ）、アドゥワ誠（松山聖陵高→広島）、京山将弥（近江高→DeNA）だ。
才木はすでに先発で3勝をマークしており、後半戦に入ってからはローテーションにも定着した。防御率4.79とまだまだ安定しているとは言い難いが、光るものは見せている。このまま順調に成長すれば、来シーズン以降、ローテーションの軸となってもおかしくない存在だ。
また、種市は8月12日のオリックス戦で一軍デビュー。6回2失点と試合を作りアピールした。制球の乱れもなく無四球は評価できる。登板後も登録抹消はされておらず、今後も先発のチャンスがありそうだ。
5位で入団したアドゥワ誠は、すでに中継ぎとして39試合に登板し、チームになくてはならない存在となっている。4位入団の京山も先発として5勝3敗と2つの貯金を作っている。
このように2016年ドラフトで指名された高卒組は、注目を浴びていた1位指名選手だけでなく、プロの世界に飛び込んだ多くの選手が2年目にして花開きつつある。プロに入ればスタートは横一線。下位指名からの飛躍を遂げる選手にも注目していきたい。
※数字は2018年8月12日終了時点
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