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ロッテ平沢は打率2割前半でも高出塁率。12球団「1番打者」の出塁率、IsoD

2018 8/7 07:00青木スラッガー
野球ヘルメット,ⒸShutterstock.com
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広島・丸の活躍で「出塁率」が話題の今シーズン

今シーズンのプロ野球は「出塁率」に注目が集まっている。球史でも突出した数字を残しそうな選手が現れているからだ。

広島不動の3番・丸佳浩が、7月終了時点で5割に迫る出塁率をキープ。過去にシーズン出塁率が5割を超えたことがあるのは王貞治のみ。90試合近くを消化したところで、丸は王以来の「5割超え」に挑もうとしているのである。

言わずもがな、出塁率とは安打数と四死球を足して「塁に出る確率」を算出する成績。「アウトにならない確立」とも言い換えることができ、セイバーメトリクスの普及で、近年その重要性が再認識されている。どの打順の選手でも出塁率が高いに越したことはない。だが、特に重要視されるのは、チャンスメイクの役割を担う1番打者だろう。

1番という打順は、高出塁率を残すことが難しい役割である。歴代のシーズン出塁率記録は王以降も落合博満、バース、小笠原道大、柳田悠岐と続き、主軸を打つ長距離砲が並ぶ。クリーンナップの前を打つ打者に対して、投手はやすやすと四球を与えてくれないのだ。それだけに、高出塁率を残せる1番打者は貴重な存在といえる。

塁に出ることが仕事の「1番打者」、出塁率は……?

以下が8月5日の試合で1番打者を務めた選手の打撃成績だ。

プロ野球,1番打者,成績

ⒸSPAIA

1番打者で出塁率トップは、ロッテの伊志嶺。次点でパ・リーグ首位打者争いを繰り広げている秋山、さらに6月ごろから1番に定着した糸原が4割の出塁率と続く。
2017年盗塁王で足を警戒される田中と西川も2割半ばの打率を考えると、かなりの四球を選んで出塁を獲得している。

上に挙げた打者のうち、秋山、田中、西川は開幕から不動のリードオフマンを任される。西武、広島、日本ハムと好調な3チームである。これは単なる偶然といえないだろう。巨人は坂本勇人が1番打者で打率.328、出塁率.418の好成績を残していたが、オールスター明けに坂本が離脱してから負けが込むようになった。そのほかのチームも、1番打者はなかなか固定に至らないケースが多い。

ロッテ平沢は「低打率」でも「高出塁率」選球眼を武器に1番打者定着へ

そんな中、ここ最近1番に入りはじめた打者でおもしろい存在がいた。不動のリードオフマンを務めていた荻野貴司が離脱したことで、7月下旬から1番打者で起用されているロッテの平沢大河である。打率.215は上記12選手と比較して低いが、出塁率は.343でIsoD.128という数字を叩き出している。

「IsoD」は出塁率から打率を引き、安打以外でどれだけ塁に出たのか、つまり選球眼を評価するセイバーメトリクスの指標だが、これで平沢はトップとなっている。井口資仁監督も、平沢の一番起用は高出塁率を評価してのことだろう。

平沢は、2015年ドラフトで楽天との競合1位指名を受けてロッテに入団。仙台育英で高校屈指のスラッガーとして活躍し、最高級の評価を受けてプロ入りを果たした。高卒3年目となる今シーズンは勝負の年だ。内野手で中村奨吾がブレイクし、社会人出身のルーキー藤岡裕大が遊撃手で新人王候補の活躍。昨シーズン遊撃手でプレーした平沢も、今シーズンは外野手で出場機会を伺う形となっている。

そういった熾烈なレギュラー争いの中、荻野離脱のアクシデントもあり、平沢に突然転がり込んできたリードオフマンという新たな仕事。5月、6月とヒットがあまりでなかった打撃も、7月に入って少し上向いてきている。

ここ3試合は出塁率の高い伊志嶺が1番に入り、以前と同じ9番を任されているが、このまま打撃が向上すれば「高出塁率の1番打者」としてレギュラー定着のチャンスは十分ある。3年目ドラ1が選球眼を武器にチーム浮上のきっかけを作れるか期待したい。