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セ・リーグでは丸が圧倒的!選球眼を表す指標のひとつ「IsoD」

2018 8/1 14:20勝田聡
バッター,ⒸShutterstock.com
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IsoDとは?

10数年前のプロ野球で打者の指標として用いられていたのは、打率・本塁打・打点・盗塁などが主で、最高出塁率とタイトルに制定されている出塁率も、それほど注目されていなかった。しかし、『マネー・ボール(著マイケル・ルイス)』が日本で文庫化されると一般に出塁率が広がりはじめ、少しずつではあるがセイバーメトリクス的な考え方が取り入れられるようになってきた。

2018年現在、OPS(出塁率+長打率)やWHIP(1イニングに何人の走者を出すかを表す指標)などはテレビや新聞などでも使用されている。そのなかでIsoDと呼ばれる指標がある。Isolated Disciplineの略であるIsoDを単純に説明すると、「四死球によってどの程度の出塁をしたのか」を表す指標である。おおまかではあるが、選球眼を示していると言えるだろう。

「出塁率-打率」という極めて簡単な計算式で求めることができることから、ファンによる会話、TwitterなどのSNSにおけるやりとりのなかでも取り入れられることが増えてきた。その他にも選球眼を測るために「四球/打数」で求めることのできる「BB%」という指標が用いられることもある。

【IsoD】
計算式:出塁率-打率
意味:四死球によっての出塁する程度を表す指標。主に選球眼の良さを測ることができる。一般的に0.10以上で優秀とされ0.80で合格点と言われている。

セ・リーグでは丸が圧倒的な数値

ここでセ・リーグのIsoDを見てみよう。出塁率は丸佳浩(広島)が2位の山田哲人(ヤクルト)に大差をつけて首位に立っている。また4割以上を記録しているのは合計7人いる。それぞれのIsoDを算出してみた。

出塁率4割以上の7人

ⒸSPAIA

IsoDでも丸が圧倒的な差をつけて首位となっている。鈴木誠也(広島)、山田哲人(ヤクルト)と続く。平田良介(中日)こそ14位と出塁率と比べて大きく順位を下げているものの、0.80で合格点とされており.079は決して悪い数字ではない。この結果から現時点のセ・リーグにおける高出塁率の選手は概ね選球眼もいいと言えるだろう。

一方、最も低いのは京田陽太(中日)の.025となる。打率.245、出塁率.270と上位打線を任されている選手としては少し物足りないと言えるだろう。また、昨シーズンの首位打者であり、今シーズンも打率.313と好調の宮﨑敏郎(DeNA)は出塁率.354でIsoDは.041となる。これは京田に次いでワースト2位の数字だ。

宮﨑は主に筒香嘉智の後ろの5番を打っており、その後ろからは打力の落ちる下位打線となってしまう。そのため、四球で出塁を奪うよりも自分で決めにいくことを心がけている部分もあるはずだ。また、アレックス・ラミレス監督はファーストストライクを狙っていく指示を出しており、結果として早打ちになる。そのため四球数が伸びない事情もあるだろう。このように自身の役割やチームの方針によって見方が変わってくる指標でもあるのだ。

安打数ではなく打率で打者の打撃力を大まかに測るように、四球数ではなくIsoDを用いて選球眼を比較してみるのもおもしろい。簡単に計算できるので是非試してみて欲しい。もしかしたら、意外な選手が高数値を叩き出すかもしれない。

※数字は2018年7月29日終了時点