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西武は10年ぶりのリーグ制覇なるか? 鍵は中継ぎにあり

2018 7/24 11:00勝田聡
高木勇人,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

中村剛也の復活で厚みを増した打線

今シーズンのパ・リーグは開幕から西武が8連勝とスタートダッシュを決め、ここまでリーグを引っ張ってきた。その原動力は、やはり「山賊打線」とも称される破壊力抜群の打線だろう。首位打者争いを繰り広げる秋山翔吾、本塁打・打点の二冠王を目指す山川穂高、強打の二塁手・浅村栄斗とビッグネームが揃う。その他にも外崎修汰、源田壮亮、森友哉がおり、「おかわり君」こと中村剛也も下位打線に控えている。

開幕当初から比べると、疲れからなのか少し陰りは見えているのはたしかだ。しかし、中村が7月21日の試合で2本塁打を放ち本調子を取り戻してきた。また、山川は昨年の8月、9月・10月に2カ月連続で月間MVPを受賞しており、夏場に強い。相手投手が疲れてくる夏場に、ふたりの大砲を打ちまくりたい。

不安がつきまとう投手陣

一方で投手陣には不安がつきまとう。先発では菊池雄星、榎田大樹のふたりはまずまずな成績を残しているものの、後半戦初戦のソフトバンク戦で多和田真三郎が11失点でノックアウトされた。その他にはブランドン・ウルフ(3勝2敗)、十亀剣(5勝7敗)、今井達也(1勝2敗)らが先発を任されている。しかし安定した投球を見せることができておらず、3人の勝敗を合計すると9勝11敗と2つの負け越しだ。

中継ぎ投手陣はクローザーだった増田達至が絶不調。中継ぎに配置転換された後に二軍降格となっている。また武隈翔太と平井克典も防御率は4点台を超える。増田に代わってクローザーとなったファビオ・カスティーヨは、右ヒジの張りで7月20日に登録を抹消された。まさに、満身創痍でここまで戦ってきたのである。

昨年の覇者であるソフトバンクをはじめ、近年の優勝チームは試合終盤を任される投手が安定している。現時点の西武はこの部分が盤石とは言えず、苦しくなりそうだ。

中日から金銭トレードで小川龍也を補強

不安が大きいブルペン陣をそのまま放置しているわけではない。オールスターゲーム明けにシーズンを制するための補強として、中日から小川龍也を金銭トレードで獲得した。

開幕後の補強としてはデュアンテ・ヒースに次ぐ2件目である。5月半ばにBC・富山GRNサンダーバーズから加入したヒースは、中継ぎとしてここまで15試合に登板。0勝0敗5ホールド、防御率3.29とブルペンの支えになった。2014年・2015年には広島でプレーしており、その経験も大いに役立っているはずだ。

今回獲得した小川もヒース同様に中継ぎで起用される見通しだ。ここまで今シーズンの登板はないが、2016年には44試合で1勝1敗9ホールド、防御率2.27の成績を残しており、貴重な中継ぎ左腕としてフル回転に期待がかかる。

この小川の補強で中継ぎの強化はされたが、6連戦の続く夏場に向けてひとりでも多く戦力は欲しいところだ。残りあとわずかとなった移籍期間で新たな補強はあるのだろうか。

一方で一軍の投手陣が不調ということは、二軍でプレーしている選手にとっては大チャンスでもある。

一軍では結果を残せていないものの、二軍では29試合で防御率1.48の中塚駿太や、7月20日に初めて一軍登録された昨年のドラフト1位である齊藤大将といった若手に期待したいところ。その他にも人的補償として今シーズンから西武に加わった高木勇人もいる。ここで結果を残すことができれば、一軍定着も夢ではないだろう。

はたして、西武は2008年以来10年ぶりのリーグ優勝、そして日本一に輝くことができるのだろうか。中継ぎ投手陣の踏ん張りが鍵となりそうだ。

※数字は2018年7月21日終了時点