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一軍投手から猛打賞の西武・西川愛也 リハビリ中も走攻に才能光る

2018 5/23 07:00永田遼太郎
西川愛也Ⓒ永田遼太郎
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ⒸSPAIA

公式戦初打席で初安打

初球だった。
3月18日、ジャイアンツ球場で行われたイースタン・リーグ巨人対埼玉西武の9回表、無死一塁の場面。埼玉西武の西川愛也は、寥任磊(リャオレンレイ)の真ん中低めの直球を鋭く低いライナーでライト前へ運んだ。

ファームの公式戦とはいえ、記念すべき公式戦初打席での初安打。
「節目、節目では自分でも打ちたいと思っていましたし、最初が一番大事だとも思っていたので、その中で最初の一打席目がヒットだったのは自分でも良かったと思っています」

一塁コーチャーズボックスにいた赤田将吾2軍打撃兼外野守備走塁コーチから声をかけられると、満面の笑みでハイタッチを交わした。

思い切りの良さとタイミングの取り方は18歳のルーキーとは思えない非凡なものを感じさせる。

5月21日現在、打率2割6分8厘、安打26、打点5はチーム内でも3位の数字だ。
「結果自体は本当にここまでいい感じで出ています。自分の状態を考えても自分らしいヒットが出ているので、そこに関しては良いと感じています」
プロ1年目、上々のスタートに自分でも手応えを感じているようだ。

西川愛也

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DeNA・東克樹から3安打

現在は、一軍で活躍している好投手からも結果を残し、自信をつけた。たとえば3月29日平塚で行われた横浜DeNA戦では、今季1軍で7試合を投げて防御率1.70の左腕・東克樹から3安打猛打賞の活躍。特筆すべきは3本のヒットが共に2ストライクに追い込まれてからのものであること。1本目がゴロで中前へ、2本目はライナーで左線へと運び、3本目はセンター右を破る二塁打。
「あの試合で自分の中でも弾みがついたと言いますか、自分のバッティングの状態も上がって来たので大きかったと思います」
アジャスト能力にはファームの首脳陣も高い評価を与えている。

高校時代は苦手とした左腕から結果を残せたことも自信を深める要因となった。
「最近はどちらかと言うと左の方が得意かもしれないです」

打席での意識を少しだけ変え、特に左投手の内角球に関しては無理にフェアゾーンに入れようとせず、ファールでも良いくらいの気持ちで振ったら結果も出た。

その一方で、ヒットが出ない日の夜は、とことんまで落ち込む。たとえば4月3日の東北楽天戦では5打数0安打2三振と相手バッテリーに完全に封じられたが、あえて悔しさをすぐに忘れようとはしなかった。
「自分はめっちゃ引きずるタイプなんです。一日中悔しがることもありますし、結構切り替えが難しいタイプなので……。でも、逆にその悔しさが次に繋がっているのかなって思いますし、落ち込むときはひたすら落ち込んで、あとは上がるだけかなって考えるようにしています」

ネガティブな質問にも気にせずあっけらかんと笑顔で答える。この明るい性格もいずれ彼の大きな武器になるだろう。

西川愛也

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「守備や走塁でも自分のプレーを」

高校時代に痛めた右肩下の大胸筋断裂の回復も順調だ。
「今、投げるのは6~7割で、打つ方はだいぶ戻ってきている状態です。あとは(ファームにいる間に)小技もしっかり出来るようにしておきたいですね」

現在は指名打者を中心に出場中の西川だが、いずれは内野を守れる中心選手へとチームの期待値は高い。西川自身もその自覚が十分だ。
「怪我が治り次第すぐに一軍で使ってもらえるように今はここ(ファーム)でしっかり準備をしていきたいと思っています」

そう話す彼の表情からは、怪我でリハビリ中の悲壮感など微塵も感じられない。

取材の最後に彼は力強くこう言葉を残した。

「今はバッティングだけですけど、怪我をしっかり治して、守備や走塁でも自分のプレーが出来るようにやっていきたいです」

埼玉西武にまた一人、次世代のスター候補生が加わった。