鈴木博志は入団時にキンブレルの「46」を希望
静岡県の磐田東高から社会人野球の強豪であるヤマハへと進んだ鈴木博志。150キロを超えるストレートが早くから注目されており、多くの球団が1位指名候補として名前を挙げていた。迎えたドラフト会議では、中村奨成(現・広島)の抽選を外した中日が入札し交渉権を獲得。そして入団する運びとなった。
即戦力候補となるドラフト1位の投手ということもあり、中日は球団のエースナンバーでもある「20」を用意。この番号はかつて杉下茂、権藤博、星野仙一、小松辰雄といった歴代のエースが背負ってきたものでもある。しかし鈴木博は、目標にしているボストン・レッドソックスのクレイグ・キンブレルが背負っている「46」を希望した。
メジャー史上最速で300セーブを達成
キンブレルは2010年にアトランタ・ブレーブスでメジャーデビュー。翌2011年には2年目ながらクローザーに抜擢される。この年は79試合に登板し4勝3敗46セーブ、防御率2.10の成績を残し最多セーブのタイトルを獲得。ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)も受賞している。この年から4年連続で最多セーブを獲得し、メジャーを代表する投手のひとりとなった。
素晴らしい成績を残しているキンブレルだが、2015年の開幕前日にサンディエゴ・パドレスへとトレードされた。日本に比べると移籍市場が活発なメジャーリーグ。よって移籍自体は珍しいものではなく、過去にも多くのトレードが行われている。しかし、開幕前日にトレードが成立したことに世間は驚いた。
移籍初年度となる2015年には39セーブを挙げるも、5年連続のタイトル獲得とはならなかった。そのオフには再びトレードでボストン・レッドソックスへと移籍。ここで上原浩治(現・巨人)とチームメートとなっている。昨シーズンまでの2年間で66セーブをマーク。アメリカンリーグでもしっかりと結果を残している。
今シーズンはレッドソックスで3年目を迎えており、現地5月5日の試合では通算300セーブを達成。29歳11カ月での達成はメジャー史上最速の記録となった。
【キンブレル通算300セーブの瞬間】
わかっていても打てないフォーシーム
キンブレルの特徴は、150キロ台のフォーシームと鋭い変化を見せるナックルカーブの2球種で投球を組み立てるところだ。この2球種でメジャーリーグの強打者達を封じ込めているのである。昨シーズンの奪三振率は16.43を記録しているが、約60%のアウトを三振で奪っている計算となる。
この2球種で、これだけの成績を残しているのである。まさに「わかっていても打てない」投手の代表的存在といったところだろう。
【キンブレルの投球】
現時点で鈴木博志はセットアッパーとして15試合に登板し、1勝0敗6ホールド、防御率2.45の数字を残している。また、14.2回で11奪三振となっており、奪三振率は6.75だ。新人としては上出来だろう。しかし、目標とするキンブレルには遠く及ばない。
ここから鈴木博は、はたしてどのような成長曲線を描いていくのだろうか。「和製キンブレル」を目指して、絶対的な守護神へ駆け上がっていくことに期待したい。
※数字は2018年5月8日終了時点