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菊池にライバル出現!? 巨人の新星・吉川尚輝に注目!

2018 4/29 12:00mono
吉川尚輝
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ⒸSPAIA

NPB史上最高補殺数を記録

二塁手として5年連続ゴールデングラブ賞を受賞している菊池涼介(広島)。今シーズンは二塁手としての最多タイとなる6年連続を目指している。しかし、その菊池に強力なライバルが現れた。2016年ドラフト1位で巨人に入団した吉川尚輝だ。

打撃であれば、打率や本塁打、投球であれば勝利数、奪三振、防御率など各選手の比較をする際に指標となる数値がある。しかし、守備においてはこのような数値は多くない。近年では、UZR(Ultimate Zone Rating)やDRS(Defensive Runs Saved)といった指標がデータ分析会社から発表されているが、コアな野球ファンの間にしか浸透しておらず、まだ一般的にはなっていない。NPBの公式サイトでも公開されている失策数、補殺数、刺殺数によって判断しているのが実情だ。今回はUZRやDRSといった数値ではなく、従来からの数値でセリーグ各球団の二塁手を見ていきたい。

菊池の年度別二塁守備記録は以下の通り。


菊池涼介・年度別二塁守備記録

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2013年にはプロ野球史上最高の535補殺を記録している菊池。レギュラーに定着した2013年から4年連続、二塁手として最多刺殺を誇っている。しかし、昨シーズンはレギュラー定着後最少となる407刺殺となった。

補殺とはアウトを成立させるために補うことを意味しており、二塁手の場合であれば、主に二塁ゴロや「4-6-3」併殺打などで記録される。打球を捕り、一塁などに投げることでアウトにする行為となるため、守備範囲が広い選手ほどこの数は多くなる。守備範囲が狭いと打球を捕ること自体が少なくなるためだ。また、より多くの打球に触れることで失策数は増えやすくなる。昨シーズンで見ると菊池の補殺はNPB記録の535補殺を記録した2014年と比べ128に減少。そして、失策も7個減っている。

補殺数は現在リーグ3位

2018年二塁手守備数値

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今シーズンのセ・リーグ二塁手を見ると、現時点で7人が規定試合数(チーム試合数×2/3)に到達。そのなかで補殺数のトップは山田哲人(ヤクルト)、続いて吉川尚輝(巨人)そして菊池となっている。各球団の消化試合数が異なるために、一概に比較はできないものの、広島(21試合)は巨人(20試合)、ヤクルト(20試合)よりも1試合多い。それにも関わらず、補殺数では3位となっているのだ。

レギュラー定着後に補殺数でリーグ3位以下となったことはなく初めてのことだ。2位となったのも昨年が初めて(トップは山田)だった。山田は打撃がクローズアップされているものの、守備も菊池が不在ならば、ゴールデングラブ賞を受賞してもよいほどの内容を残しているために、大きな驚きはない。

その菊池と山田に迫っている新星が巨人で「2番・二塁」に定着した吉川である。吉川は菊池の母校である中京学院大の後輩でもあり、繋がりは深い。その吉川は4月21日の阪神戦でも、抜ければ失点に結びつきそうなあたりを好捕するなど、坂本勇人とともにリーグ屈指の二遊間を形成している。大学時代は遊撃を主に守っていたが、評価は高かった。その才能を2年目にしてようやく発揮してきた格好だ。

記者投票ということもあり、数値だけではなく印象なども加味されるゴールデングラブ賞。現時点ではまだ100試合以上も残っており、その行方はわからない。しかし、もしかしたら、菊池の牙城を崩すのは山田ではなく吉川となるかもしれない。

※数字は2018年4月22日終了時点