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球場も「インスタ映え」の時代!?改革続くプロ野球スタジアム

2018 4/26 09:30青木スラッガー
マツダスタジアム,プロ野球,グッズ
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ⒸSPAIA

他球団も続くか?マツダスタジアムの「インスタ映え」リニューアル

全国に12か所あるプロ野球の本拠地球場。最も新しく建てられたのは2009年開場のマツダスタジアム(広島)だ。完成から最も年月が経っているのは阪神甲子園球場(阪神)。全国中等学校優勝野球大会(現在の高校野球・選手権大会)開催のため、まだプロ野球リーグがはじまっていない1924年に誕生している。

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2017年5月3日撮影ⒸSPAIA


歴史の長さは様々だが、選手とファンにより良いプレー・観戦環境を提供するため、どの球場も時代に合わせた変化を繰り返して今の姿に至っている。2018年も、いくつかの球場がリニューアルを遂げた。

近年の赤ヘル旋風で連日超満員が続くマツダスタジアムは、2階スタンドに団体パーティールームを2種類新設した。

コンセプトは「インスタ映え」。パンケーキやパエリアといった女性受けが良さそうな限定フードメニューや、変わった動物のオブジェなど、写真を撮って思わずSNSで自慢したくなる様々な仕掛けが施されている。

フォトスポットなどSNSを意識したコンテンツは他球場にもあるが、それ自体をコンセプトにした席は画期的だ。実は近年、SNSでのシェアを意識したリニューアルは大リーグのスタジアムで盛んになっている流れ。これから日本の他球場も続いていくのではないだろうか。

人工芝張替え4球場 ナゴヤD、ZOZOマリンはLED照明導入で演出パワーアップ

マツダスタジアムのリニューアルは局所的なものだが、球場全体の雰囲気が大きく変わったところもある。

横浜スタジアム(DeNA)、ナゴヤドーム(中日)、ZOZOマリンスタジアム(ロッテ)、京セラドーム(オリックス)は人工芝が張替えとなった。人工芝は消耗品だ。年数が経過すると、ところどころ色落ちやハゲが目立ってくる。プレーする選手もそうだろうが、やはり真新しい深緑の芝の方が、スタンドから見ていても気持ちがいい。

上に挙げた4球場のうち、京セラドームを除いた3球場は他にも昨年からの変更点が多い。

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2017年9月9日撮影ⒸSPAIA


昨年に全長100m超の巨大ビジョン「106ビジョン」を導入したナゴヤドームは、今年からグラウンド照明を全面的にフルカラーLED化。十分な明るさを確保したうえで、総消費電力を約60%削減できる見込みという。

LED照明は省エネ面のほか、瞬時に点灯・消灯して自在に明るさを調整できることから、多彩な演出が可能になるというメリットがある。ナゴヤドームも天井をドラゴンズブルーにライトアップするなど、開幕カードからこれまでにない演出でゲームを盛り上げている。

ZOZOマリンスタジアムも今年から照明を全面的にLED化。総消費電力は約50%削減可能見込みと、こちらも省エネ効果は大きい。LED化はグラウンド照明だけでなく、球場外壁にも及ぶ。ナイターの日には外壁がフルカラーLEDでカラフルにライトアップされ、幻想的な球場外観を作り出している。

ZOZOマリンスタジアムといえば、試合中や終了後の打ち上げ花火が名物のひとつ。調光が自由なLED照明の導入で、花火もより映えるようになるだろう。

「ボールパーク化」をテーマに大改修計画も

2015年にLED照明導入済みの横浜スタジアムは、内野席に防球ネットが新設。この球場の個性であった「臨場感」が薄れてしまうことにはやや寂しさを覚えるものの、より安全に野球観戦を楽しめるようになった。

これまで「青」と「オレンジ」が混在していた座席は、2016年から進めていた全席「横浜ブルー」化計画がついに完了。ぐるっとスタンド一面、横浜の海を連想させる鮮やかなブルーに。ベイスターズの「ホームグラウンド感」というようなものが一層強くなった印象だ。

横浜スタジアムは、2020年夏の東京五輪で野球・ソフトボールのメイン球場として使用されることが決定している。今回のリニューアルは、そのための大改修計画の一環だ。6000席のスタンド増築など、ベイファンには待ち遠しいリニューアル計画がまだまだ控えている。

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2018年3月30日撮影Ⓒ勝田聡


ヤフオクドーム(ソフトバンク)、メットライフドーム(西武)も今年から大規模リニューアルをスタートさせることを発表している。日本ハム球団、札幌ドーム、関係自治体で協議が続いていた本拠地移転計画は、シーズン開幕直前になって北広島市が移転先に決定した。

いずれの球場も、計画の大テーマは「ボールパーク化」。野球観戦だけでなく、「球場にいることそのものを楽しませよう」というメジャー輸入の集客戦略である。球場が野球ファンの心を熱くさせる場所であり続けるために、また野球をあまり知らない人も楽しめる場所にするために、各球団・球場が競うようにスタジアム改革を進めている。