頼れる兄貴分「選手兼任コーチ」 今季は松井稼・岩瀬ら5名が就任|【SPAIA】スパイア

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頼れる兄貴分「選手兼任コーチ」 今季は松井稼・岩瀬ら5名が就任


松井稼頭央

Ⓒゲッティイメージズ

かつてはONも…今季は5名が「選手兼任コーチ」でシーズンへ

大リーグと日本のプロ野球には様々な違いがあるが、日本プロ野球ではメジャーで、大リーグにはあまりないものとして、「選手兼任コーチ」という役職の存在がある。現役晩年のベテラン選手が、プレーヤーとコーチ業を両立する二刀流職だ。

近年の例を振り返ってみると、現巨人監督の高橋由伸氏(巨人)や侍ジャパン常任監督の稲葉篤紀氏(日本ハム)をはじめ、前田智徳氏(広島)、東出輝裕氏(広島)、三浦大輔氏(DeNA)、宮本慎也氏(ヤクルト)、立浪和義氏(中日)、今岡真訪氏(ロッテ)など、数々の名選手がコーチ兼任で現役晩年の選手生活を送ってきた。昔では「ON砲」の王貞治氏、長嶋茂雄氏(巨人)も、現役晩年の数年間は兼任コーチを務めている。

※カッコ内は選手兼任コーチを務めたときの所属チーム

プロ野球のコーチ職の具体的な役割は、大まかにいうと2種類に分けられるように思う。ひとつは試合中の作戦考案や相手チーム分析といった、ベンチの頭脳となる参謀的な役割。もうひとつは、選手の指導・育成だ。選手兼任コーチが担当するのは、もっぱら後者の方だろう。「コーチ」の肩書がつくことで、他のコーチ陣に遠慮することなく、豊富な経験を持つベテラン選手が若手にアドバイスできるようになる。

コーチ職として直接指導もしながら、プレーヤーとしては背中で手本を示す。若手選手たちからすれば“頼れる兄貴分”的な存在だ。2018年は新たに5人のベテラン選手が、この二刀流職でシーズンに臨む。

近年低迷の中日は黄金期主力メンバーの荒木&岩瀬が兼任コーチに

2選手が同時に兼任コーチへ就任したのは、5年連続Bクラスと低迷する中日だ。昨季、通算2000本安打を達成した23年目の荒木雅博(40)が「内野守備走塁コーチ」、プロ野球記録の通算950登板を達成した20年目の岩瀬仁紀(43)が「投手コーチ」を兼任する。

昨季は荒木が85試合出場、岩瀬はチーム2位タイの50登板と、まだまだ戦力としてチームに必要とされる名球会コンビ。荒木は通算400盗塁(2017年シーズン終了時点で通算378盗塁)、そして岩瀬は前人未到の1000登板(同954登板)達成なるかと、個人としても非常に注目度の高い両者だが、今季はコーチとしても強竜復活に力を注ぐ。

岩瀬が就任する「選手兼投手コーチ」は、野手担当の選手兼コーチに比べると、過去あまり例が多くないポジションだ。最近では先ほど名前を出したDeNAの三浦氏くらいだろうか。プロ野球史上、最も多くマウンドに上がってきた岩瀬が積極的に若手投手にアドバイスを送ることで、低迷するチームにどんな化学反応が生まれるか注目だ。

西武復帰の松井稼は「テクニカルコーチ」ロッテ一筋の福浦は「打撃コーチ」兼任

パ・リーグでは3球団で3人の選手兼任コーチが誕生する。まず、15年ぶりに古巣西武へ復帰する25年目の松井稼頭央(42)。「テクニカルコーチ」という、あまり聞きなれない役職名のコーチを兼任することとなった。「打撃」「守備走塁」といった担当範囲を限定せず、豊富な経験と技術をできるだけ多くの若手野手に伝えてほしいという球団の意図だろう。

かつて西武の不動の遊撃手だった松井は、大リーグでは主に二塁手として出場。楽天移籍後は三塁手も守り、30代後半を迎えてから外野手に転向した。打っては両打席に立つスイッチヒッター。さすがに近年は衰えてしまったものの、西武時代に3年連続で盗塁王を獲得した走塁のスペシャリストでもある。外野手登録ながらキャンプでは再び三塁手に挑戦するなど、選手としてはユーティリティーな働きが期待されるが、コーチ業でも走攻守すべての分野でチームへ貢献できるだろう。

一方、日米5球団で様々なポジションを守った松井とは対照的に、24年間のキャリアのほとんどを一塁手としてロッテ一筋で過ごしてきた福浦和也(42)は今季から「打撃コーチ」を兼任する。昨季パ・リーグ最下位のロッテはチーム打率(.233)が12球団最下位。特に序盤戦は5月末までチーム打率1割台が続くなど、極度の貧打に苦しんだシーズンであった。2001年には打率.346で首位打者を獲得した「幕張の安打製造機」の打撃指導で「マリンガン打線」復活となるだろうか。

福浦はプレーヤーとしては、昨季は30安打を放って通算1962安打とし、2000本安打まで残り38本に迫った。今季中の金字塔到達が期待される。

“ポスト中嶋聡”となれるか?巨人戦力外の實松は日本ハムで捕手兼「二軍育成コーチ」に

5人の中で最後に兼任コーチ就任が決まったのは、昨季終了で巨人を戦力外となった20年目の實松一成(37)。捕手兼「二軍育成コーチ」として古巣日本ハムへ12年ぶりに復帰する。

日本ハムは、昨季まで正捕手を務めた大野奨太(31)が中日へFA移籍し、今季は圧倒的な捕手がいない。實松はコーチとしての担当はファームではあるが、チーム状況次第で一軍での出場チャンスも十分にあるだろう。

「捕手兼コーチ」といえば、日本ハムにはこのポジションを最近まで9年間も務めた選手がいた。現日本ハム一軍バッテリー兼作戦コーチの中嶋聡氏(48)だ。中嶋コーチは38歳の2007年に捕手兼一軍バッテリーコーチに就任。2009年からは数試合しか出場しないシーズンが続いたが、緊急事態(故障などで捕手が足りなくなる)のための控え捕手として、46歳の2015年まで現役を続けた。

日本ハムは實松にも、選手兼任時代の中嶋コーチのような役割を期待しているのだろうか。今季から兼任コーチに就任する5選手の中で、ただ一人レギュラーとしての活躍やタイトル争いには無縁だった實松だが、もしかしたら、彼がこれから一番長く現役生活を続けることになるかもしれない。

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