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フルイニング出場選手たちの交代要員はだれ?

2018 3/13 11:28mono
田中広輔
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Ⓒゲッティイメージズ

2017年のフルイニング出場は5人

2017年シーズンに全試合出場を果たした選手はセ・パ両リーグ合わせて15人だった。そのなかで途中出場、途中交代もないフルイニング出場は田中広輔(広島/遊撃)、倉本寿彦(DeNA/遊撃)、山田哲人(ヤクルト/二塁)、源田壮亮(西武/遊撃)、秋山翔吾(西武/中堅)の5人。この顔ぶれはいずれもチームに欠かせない存在だ。また、全員が守備の要でもあるセンターライン(捕手・二塁・遊撃・中堅)を守っていることからも、押しも押されもせぬ中心選手ということがわかるだろう。

さらには、田中は盗塁王・最高出塁率、源田は新人王、秋山は首位打者・最多安打とタイトルホルダーでもあり、彼ら中心選手たちのフルイニング出場が、勝利への貢献であることは間違いない。しかし、長いシーズンを戦う上では故障など不測の事態が起こることもある。その場合に誰が彼らの穴を埋めることになるのだろうか。

【2017年・全試合出場者】
※はフルイニング出場者

  • 田中 広輔(広島)※
  • 丸 佳浩(広島)
  • 鳥谷 敬(阪神)
  • 倉本 寿彦(DeNA)※
  • 桑原 将志(DeNA)
  • 山田 哲人(ヤクルト)※
  • 中村 晃(ソフトバンク)
  • 松田 宣浩(ソフトバンク)
  • 秋山 翔吾(西武)※
  • 浅村 栄斗(西武)
  • 源田 壮亮(西武)※
  • 銀次(楽天)
  • 島内 宏明(楽天)
  • T-岡田(オリックス)
  • 鈴木 大地(ロッテ)

DeNAは大和の獲得で備えあり?

セ・リーグの3人を見ていこう。昨シーズンこそ不調だった山田だが2015年、2016年と2年連続トリプルスリー(打率3割以上、30本塁打以上、30盗塁以上)を達成。その代わりは、もはや球界を見渡しても不在といっていいだろう。そのなかで代役を考えると谷内亮太、西浦直亨らが本来の遊撃から回ってくることが濃厚だ。現に2016年シーズン中は山田が故障離脱中にふたりは二塁を守っている。

また二軍では昨シーズン、渡邉大樹がチーム最多の70試合で守備についている。昨シーズン初めて一軍出場を果たしたばかりだが、次世代の二塁手候補として起用することはありえるだろう。堅実に他ポジションから回すのか、期待の若手を起用するかは小川淳司監督の方針次第となりそうだ。

広島で1番・遊撃を務める田中。2016年、2017年と2年連続でフルイニング出場となっており、不在時の穴は大きくなる。田中以外の選手が一軍で遊撃のポジションについたのは2015年の梵英心、木村昇吾の二人まで遡る。しかし、このふたりはすでにチームから離れており、ここ3年における一軍での遊撃経験者は不在だ。

そのため、田中の欠場時は二塁の菊池涼介を遊撃に回し、西川龍馬を二塁で起用するか、もしくは田中の代わりに若手を抜擢することとなるだろう。二軍では庄司隼人(63試合)、桒原樹(58試合)のふたりがメインポジションとして遊撃を守っており、このふたりが昇格することになりそうだ。どちらにせよ近年、一軍での遊撃守備経験に乏しく不安が残る。

一方、山田、田中と比較すると倉本の欠場は対処しやすいだろう。このオフに獲得した大和を遊撃で起用し、田中浩康、柴田竜拓らを二塁で起用できるからだ。また倉本は主に下位打線で起用されていることから、打撃面での影響も少ない。万が一が、起こっても大幅な戦力ダウンとはならないといえそうだ。

西武は大幅な戦力ダウンが避けられず……

パ・リーグで唯一フルイニング出場選手を輩出した西武。源田、秋山ともに上位打線を任されており、攻守に渡り戦力ダウンは大きいだろう。バックアップとしては、遊撃が呉念庭、永江恭平といった2016年に起用されたメンバーとなることが濃厚。また、今キャンプでアピールを続ける山田遥楓も昨シーズン二軍でチーム最多の48試合に遊撃を守っており、チャンスはありそうだ。

西武だけでなく、日本代表でも中心となりつつある秋山の代わりを見つけるのは困難だ。現時点では熊代 聖人、木村文紀といった中堅組か、二軍から期待の若手である鈴木将平を抜擢することになるだろう。

両ポジションともに、欠けたら大幅な戦力ダウンとなることは間違いない。また守備面だけでなく、攻撃面でも影響はありそうだ。辻発彦監督が備えをどのように行なっていくのか注目していきたい。

このように、各チームとも変わりを見つけるのが困難なフルイニング出場選手たち。しかし、どんな選手でもフルイニングで出場し続けることはできない。故障や衰えなどで代わりの選手はどこかで必要になってくる。

その備えをどのタイミングで行うかが、編成をする上で重要だ。また、確固たるレギュラーがいるポジションこそ、次世代の選手を一軍で育成することは難しい。

長期的に、チームを見ていく上で二軍の試合にも目を向け、次のレギュラー候補を探していくのも楽しみ方のひとつだ。フルイニング出場を続けている選手の後継者を見つけてみてはいかがだろうか。