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【セ・リーグチーム分析】阪神、広島編

田中広輔
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ⒸSPAIA

※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点

阪神

<2017年阪神:主な先発投手成績>

※直近2年間で規定投球回に到達した投手を対象

 

昨季は2年ぶりのAクラス入りを果たした阪神。その原動力となったのが、リーグトップの救援防御率を記録したブルペン陣だろう。

一方で、先発陣に関しては計算違いの多いシーズンでもあった。チーム最多の12勝を挙げた秋山の台頭は“うれしい誤算”だったが、ローテーションの一角として期待された岩貞、藤浪がいずれも不振。エース・メッセンジャーも右足骨折のアクシデントに見舞われ、長期離脱を余儀なくされた。リリーフの面々は盤石なだけに、今季は実績のある先発投手が本領を発揮できるかが、カギを握りそうだ。

<2017年セ・リーグ:外国人野手の打撃成績>

※NPBのドラフトを経ていない選手を対象

 

打撃陣では、糸井の加入や鳥谷の復調に加え、中谷が20本塁打を放って一躍ブレーク。7年ぶりにチーム本塁打が100本を超えるなど、前年にリーグ5位の506得点にとどまった貧打からは一定の改善を見せた。

特徴的なのが、キャンベル、ロジャースの両外国人が振るわず、結果的にシーズンの多くを“国産打線”で戦ったことだ。今季は新助っ人のロサリオが春季キャンプからアーチを連発しているが、さらなる得点力増加には彼の働きが重要になってくるだろう。

広島

<2017年セ・リーグ:先発投手のゴロ割合>

※ゴロ割合…全打球に占めるゴロの割合

 

昨季も隙のない戦いぶりでリーグ連覇を果たした広島。先発陣では前年に10勝を挙げた黒田が引退したものの、薮田、岡田、九里といった若手たちがその穴を埋めた。

この3人は、いずれも野村やジョンソンらと同様にゴロを打たせるピッチングを持ち味としており、昨季の広島は先発投手のゴロ割合がリーグトップの51.8%を記録。今季もグラウンドボーラーたちが軸となり、盤石のローテーションを形成できるか。

<2017年広島:主な規定打席未到達者の打撃成績>

※OPS=出塁率+長打率
※100打席以上の打者を対象

 

田中、菊池、丸の“タナキクマル”トリオに代表される打撃陣は、両リーグ最多の736得点をたたき出すなど、その破壊力にさらなる磨きがかかった。

特筆すべきは層の厚さで、8月下旬には主砲・鈴木が故障で離脱したものの、松山がそれ以降の27試合で打率.368、5本塁打と、代役として申し分ない打棒を発揮。他の規定打席に到達しなかった選手を見ても、エルドレッド、バティスタ、新井といった強打者がずらりと並んでいる。この面々を見る限り、赤ヘル打線の勢いが衰えることはまだなさそうだ。

 

企画、監修:データスタジアム、執筆者:三谷 翔平