外崎修汰の打撃開眼
※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点
2017年、4年ぶりのAクラス入りを果たすなど、躍進を遂げた西武。リーグ最多の690得点をマークした強力打線の中で、台頭した選手の1人が外崎修汰だ。
3年目の昨季はシーズン序盤こそ快音が聞かれなかったものの、6月以降は3割に迫る打率をマーク。外崎の打撃開眼には、どのような理由があったのだろうか。
まず、注目したいのが直球に対する打率だ。本人が「真っすぐを捉えきれていない感覚があった」と話すように、5月までのストレート打率は.169と低迷していた。しかし6月以降は、同.312と大幅に上昇。速いボールに対応できるようになったことが、成績向上の要因といえる。
※コンタクト率…スイングしてバットに当たった割合
では、外崎のバッティングにどのような変化があったのだろうか。そこでスイングしてバットに当たった割合を示すコンタクト率を見てみると、大幅に改善していることが分かる。
実は5月30日の広島戦以降、外崎は辻発彦監督のアドバイスで、バットを少し短く持つようになった。握る位置を変え、コンパクトにスイングをする意識が、この時期から強くなったのかもしれない。
次に見てほしいのが、ストレートを捉えた際の打球方向だ。5月まではレフトへの打球が最も多かったが、6月以降はセンターやライトへの打球が増加。本人も右方向への意識を口にしており、シーズン中盤からはそれが体現されている。
そして、右方向へのバッティングは結果に結びついた。6月以降は、センター、ライトへの打球がヒットになる確率が大幅にアップ。
しかも、右方向に4本のホームランを記録するなど、長打も格段に増えた。外崎はバットを短く持つことに対して、「打球が弱くなったら嫌だな」と不安を抱えていたそうだが、それは杞憂(きゆう)に終わった。
大会MVPに輝いた「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」で放った本塁打も、ストレートをライトスタンドへ運んだもの。まさに、外崎の成長を象徴する一打だった。
打撃の才能が開花した外崎は、持ち前の俊足と相まって、昨季パ・リーグで唯一となる10本塁打20盗塁を達成。また、本職は内野だが外野にも挑戦し、複数ポジションをこなせる選手としても欠かせない存在となった。
今季からは、辻監督が現役時代に着けた背番号5を背負う。大きな期待に応えるべく、レオの新鋭はさらなる高みを目指す。
企画、監修:データスタジアム、執筆者:雲瀬 亮太