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プロ野球選手も涙目?地獄の春季キャンプ

2018 1/28 11:02mono
女性,バット
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オリックス3選手による地獄のバント特訓

昨年(2017年)、メディアを賑わしたのはオリックス・福良淳一監督だった。キャンプ初日から期待の大砲候補でもある園部聡へ二軍降格を命じたのだ。これは、ケガではなく体重管理ができていなかった自己管理の甘さが原因だった。

このように福良監督の『怒りモード』でキャンプは始まった。次のターゲットとなったのは中盤にバント練習などで失敗が目立った小田裕也、武田健吾、宗佑磨ら3選手。激怒した福良監督は約3時間にわたる特別バント練習を命じている。キャンプ中だからこそできる、長時間にわたるバントの特訓。室内練習場でマシン相手に延々とバント練習を行ったようだ。余談ではあるが、地獄の特訓終了後には食堂が閉まっており、3選手は昼食抜きとなってしまった。

そのほかにも、キャンプ中の福良監督は度々怒りを爆発。のちに『鬼ってる? 仏ってる? 福良監督シリーズ』と題してグッズ化されたほどだ。地獄の特訓を課した鬼の福良監督だが、今年はどうなるだろうか。

西武外野陣が行った『板グラブ』特訓

2016年の春季キャンプにおいて西武の外野陣が行なったのは『板グラブ』による捕球特訓だった。板グラブとは、ほぼ手のひらと同じサイズで指を折り曲げることのできない特殊な形状のものだ。指を折り曲げることができない、すなわち、ボールを掴むことができないため、捕球してからすぐに利き手へボールを持ち替えなければならない。

一般的には、二遊間の選手が捕球から送球までの動きを速める為の練習で用いられる板グラブ。これを外野陣が行うことの意図も内野手と同様だ。ゴロの安打を捕球し、送球へ移る際の動作を素早くするための特訓なのである。

この特訓を受けシーズンに臨んだ秋山翔吾らは、この特訓の成果なのか2015年シーズンに15だった捕殺は2016年シーズンに21に増加している。

落合監督による『オレ流ノック』

2004年から中日の指揮をとったら落合博満監督。現役時代に見せたバットコントロールは指導者になっても健在だった。春季キャンプで行われる『オレ流ノック』は毎年恒例となり、多くの選手たちがしごきにしごかれた。

キャンプ中は監督自らノックバットを握り毎日のようにノックを繰り返す。そんな姿は話題の少ないオフシーズンにおけるプロ野球ニュースでも度々、放映されていた。 とくに森野将彦は2時間を超えるノックを受け、その場に倒れるほどだった。のちに講演会で落合氏は「死ぬんじゃないかと思った」と語っており、その過酷さがよくわかる。

この森野に加え荒木雅博、井端弘和の3人は落合氏も認めるほど地獄の特訓を受け、3人でのべ14回(荒木6回、井端7回、森野1回)ものゴールデングラブ賞受賞に至っている。

夢のバッテリー 巨人・野手陣の投球練習

2015年の巨人・宮崎春季キャンプでは一風変わった練習が行われた。村田修一、阿部慎之助の主軸がブルペンで投球練習を行ったのだ。けっして、お遊びではなくトレーニングの一環としてのものだ。傾斜のあるブルペンから投げ込むことで下半身を強化するのが狙いだった。

村田は東福岡高校時代にエースとして甲子園に出場しており、変化球も交えながら軽快な投球を披露。最後は阿部が捕手役をつとめるなど、和やかな雰囲気で行われた。普段では見ることのできない夢のバッテリーが結成され本人、ファンたちも楽しめた空間だった模様。こういった特訓もキャンプならではのものだろう。

もはや伝説!巨人の伊東キャンプ

キャンプの特訓でまっさきに思い出されるのが1979年に巨人が行った伊東キャンプだろう。これはシーズン前ではなく、シーズン終了後の秋に行われたものであるが取り上げたい。

1979年シーズンの巨人は長嶋茂雄監督が率い5位に終わっている。自身を含めV9を支えた選手が引退、そして高齢化しチーム力が大幅に下がっていたことが、大きな要因だった。そこで行われたのが若手中心の「伊東キャンプ」だ。

このキャンプの参加者であった中畑清氏、松本匡史氏、江川卓氏、西本聖氏らがのちに巨人を背負って立つようになったこともあり、半ば伝説となっている。とくに投手陣は投げ込み、筋力トレーニング、走り込みを文字通り『血反吐を吐く』思いでこなしていた。

練習量の多さもさることながら、故障者が1人も出なかったことも伝説と呼ばれるひとつの理由でもある。 この特訓の成果が現れ1980年シーズンの巨人は2位と順位を上げ、1981年にはリーグ優勝を果たしたのだ。

このように、シーズン中とは違い多くのチームがキャンプにおいて猛特訓を行う。その成果がシーズンにでるかはわからない。数年後に出るケースもあるだろう。しかし、花開くことを信じて過酷な特訓を受け入れる選手こそが、一流選手となっていく。
今年の春季キャンプでも一流選手への第一歩目を踏み出す選手が生まれるかもしれない。