主砲候補と期待される中谷将大
※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点
2017年の阪神で存在感を放った選手の1人が、中谷将大(なかたに まさひろ)だろう。開幕から一軍でプレーを続け、前年を大きく上回る133試合に出場。
打率.241ながら、チームトップの20本塁打を記録した。今回は、チームの主砲候補と期待される中谷のバッティングに迫っていきたい。
※フライ割合…全打球に占めるフライの割合
※規定打席到達者を対象
まず、中谷は打球に角度をつけるのがうまいバッターだ。2017年のフライ割合は65%で、これは両リーグの規定打席到達者の中では頭一つ抜けた数字といえる。
ちなみに、2016年も61%と高い割合でフライを打ち上げていた。本塁打はフライ打球がスタンドインしたものであり、長距離砲と呼ばれる打者はフライも多い傾向がある。
これは、各球団の主軸打者がランキングに名を連ねていることからも分かりやすいだろう。
※NPB平均は右打者を対象
そして、中谷はただフライが多いだけでなく、引っ張ったフライが多い。フライの打球方向を調べると、平均的な右打者と比べてレフト側への打球が多くなっていた。
引っ張り打球の方が強い当たりになりやすく、2017年にNPBの右打者が記録した本塁打はレフト方向が68%を占めていた。このことからも、引っ張ったフライ打球の多さはスラッガーにとって望ましいものだ。
実際に2017年のホームラン内訳を見ると、20本中19本がレフトスタンドへ放ったものだった。この引っ張ったフライこそ中谷の最大の持ち味で、この打球が増えれば増えるほど一発も増えると考えても良さそうだ。
まだ粗削りなところのある中谷だが、長距離砲の素質を十分に備えているといえるだろう。
振り返ると、阪神の30本塁打達成者は2010年のブラゼルが最後。日本人選手に限れば、07年の金本知憲現監督までさかのぼる。
その金本監督が17年の秋季キャンプ後、「彼なら絶対、打てると思う」と中谷の30発に太鼓判を押した。日本人の右打者で30本塁打を記録すれば、1985年の岡田彰布氏、真弓明信氏以来の大台到達となる。
チームのレジェンドの足跡をたどることができるか。18年は、中谷の打球が描くアーチに注目したい。
企画、監修:データスタジアム、執筆者:小山 卓也