戦力流出は外国人選手で埋める
なんといっても大谷翔平の移籍がこのオフのもっとも大きなトピックスだ。ポスティング制度を用いた大谷は、メジャーリーグ複数球団との面談を経てエンゼルスへと入団。
年末の12月25日には札幌ドームで記者会見を行い、北海道のファンへ向けメッセージを送っている。投打ともに柱であった大谷の退団が、日本ハムの戦力に大きな影響を与えることになるのは確実だ。
しかし、記者会見時の拍手や栗山英樹監督の表情から悲壮感は見えず、快く送り出したといえるだろう。
また、大谷の他にも選手の流出はあった。FAでクローザーの増井浩俊(日本ハム→オリックス)、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表にも選ばれた捕手の大野奨太(日本ハム→中日)がそれぞれ退団。
2年間にわたりセットアッパー・守護神を務めたマーティンも退団している。エース兼主力打者、クローザー、セットアッパーが同一年度に退団する非常事態となったのだ。
その穴埋めとして行った補強は、投手のブライアン・ロドリゲス、マイケル・トンキン、ニック・マルティネスの3名に野手のオズワルド・アルシアと外国人選手が合計4名。そしてFAの鶴岡慎也(前ソフトバンク)、巨人を戦力外となった實松一成のベテラン捕手が2名だ。
アルシアは2017年シーズンにメジャー出場はないが、マイナー(3A、ルーキー)で96試合へ出場し打率.320、24本塁打、87打点の成績を残している。2014年にはメジャーで20本塁打放っており長打力はある。
大谷に代わる主軸としての活躍が期待されることになりそうだ。
ロドリゲスは、先発型の投手でローテーション入りが濃厚。196センチの長身から投げ下ろすストレートが武器となっており、広い札幌ドームでも力強い投球を見せてほしいところ。
トンキンはマーティン、増井の役割であるセットアッパー、守護神として起用される見込みとなっている。
ドラフトでは、清宮幸太郎(早稲田実業)を1位で指名し交渉権を獲得。未来の大砲候補として大きな期待をかけられ入団した。
2位では即戦力投手の西村天裕(NTT東日本)を獲得。起用方針は定まっていないが、一軍でのチャンスは大いにあるだろう。
大谷に変わるエースは有原か?
エース・大谷が退団した投手陣を支えることが期待されるのは有原航平だ。2017年も負傷で投手としては出遅れた大谷に代わり、開幕投手を任された。
しかし、なかなか勝ち星を挙げることができずに4連敗スタート。最終的に10勝をマークしたものの13敗を喫し、3つの借金を作ってしまった。4年目の2018年シーズンは、エースとしての働きが求められる。
有原に続くのが高梨裕稔、加藤貴之らだろう。2016年に新人王を受賞した高梨は2017年シーズン7勝(7敗)。117.1回の登板に終わり規定投球回(チーム試合数×1.0)にも届かなかった。
また、左腕の加藤も6勝(6敗)と高梨同様に貯金は0に終わっている。両投手ともに2018年シーズンは1年間フル回転が求められることになるだろう。
その他には上沢直之、浦野博司らの復活にも期待したい。また、新外国人のマルティネスとロドリゲスは、外国人枠があるもののどちらかはローテーションに入ってくるだろう。
中継ぎ投手陣を見ると増井、マーティンが退団になったことで再編成となる。新外国人選手のトンキン、宮西尚生、鍵谷陽平らが中心だろう。
しかし、彼らに続く若手投手の台頭がないと、1年間戦うのはむずかしい。2年目となる玉井大翔や5年目の白村明弘らの成長が鍵となりそうだ。
中田・レアード・アルシア!長距離砲が揃った打線に期待
前述の通り指名打者として中軸で起用されていた大谷が退団した。しかし、ケガで離脱があり57試合の出場ながら打率.413を記録した近藤健介が復帰。
その他にも、オフに行われたアジアプロ野球チャンピオンシップで活躍した松本剛、2017年に初めて規定打席(試合数×3.1)へと到達した大田泰示と有望な選手は多い。
また、2017年シーズンは不調だった中田翔、そして2015年シーズンに来日して以来、3年連続30本塁打以上を放っているレアードらスラッガーもいる。そこに新外国人選手のアルシアが加わった。
長距離砲が増えたことでマークも分散し、各選手の本塁打数が増えることを期待したいところ。
捕手としてチーム最多の80試合に出場した大野の穴は市川友也、清水優心、黒羽根利規らで埋めるつもりだ。近年は完全なる正捕手を置いているチームは少なく、日本ハムも例外ではない。
複数の捕手を併用しながらシーズンを戦っていくことになるだろう。鶴岡、實松らのベテランも控えており、大きな不安はなさそうだ。
注目は清宮の起用法だ。早稲田実業時代は、ほぼ一塁手としてプレーしてきた。
しかし、まだ高校生ということもあり、栗山監督はさまざまなポジションを経験させることを示唆している。実際にコンバート(ポジション変更)するかどうかはわからないものの、経験を積ませる方針だろう。
過去を振り返ってみても、日本を代表するスラッガーである筒香嘉智(DeNA)、2年連続トリプルスリーの山田哲人(ヤクルト)、チームの先輩でもある中田も高卒1年目からレギュラーとしてプレーしたわけではない。
二軍で身体をつくり、来たるべき時に備えていた。清宮も同じように本格デビューは2019年以降となりそうだ。