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大谷翔平が日本球界で打ち立てた記録を振り返る

2017 12/18 12:59Mimu
ピッチャー
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20球団以上のオファーの中からエンゼルスに決定!

日本時間の12月9日、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平が、MLBロサンゼルス・エンゼルスに入団することが発表された。エンゼルスといえば、かつては長谷川滋利や松井秀喜、高橋尚成らが在籍していたチームだ。
現在でも、マイク・トラウトやアルバート・プホルスという、MLB屈指のスター選手が在籍している。日本ハム入団前からずっと抱いていたメジャーの夢の第一歩。20球団以上からオファーがくる大争奪戦を制し、エンゼルスが大谷を獲得した。

日本球界では、二刀流選手として投打両面で活躍した大谷。MLBでも二刀流で結果を残すことができるのだろうか。今回は大谷の活躍に期待を込め、彼がこれまで日本球界で残してきた記録を振り返っていこう。

本格的二刀流選手としてNPB初の2桁勝利2桁本塁打達成

大谷翔平といえば、やはり二刀流だ。過去にも二刀流と呼ばれた日本のプロ選手は存在したが、そのほとんどが50年代までのプロ野球(1リーグ時代も含む)選手であり、大谷ほど二刀流で結果を出した選手は他にいない。
それを象徴する記録が「2桁勝利2桁本塁打」だ。

大谷は2年目の2014年に、投手として11勝4敗 179奪三振 防御率2.61、野手として打率.274(212-58) 10本塁打 31打点を記録。NPB史上初の10勝と10本塁打を同時に達成した選手となった。
この記録は世界中のプロリーグでもほとんど例がない。アメリカで1918年にレッドソックス時代のベーブ・ルースが13勝・11本塁打、韓国でKBO創設年の1982年にヘテ・タイガース(現:起亜タイガース)の金城漢(キム・ソンハン)が10勝・13本塁打で達成したくらいであり、いずれもリーグ黎明期の話である。
ある程度リーグが成熟した現在で「2桁勝利2桁本塁打」を達成するのは非常に難しいのだ。それを成し遂げた大谷にオファーが集まるのは、ある意味当然といえよう。

史上初!2度目の2桁勝利2桁本塁打

大谷がさらにすごいのは、さらに成績を向上させて、この記録をもう1度達成したということだ。2016年、野手として打率.322(323-104) 22本塁打 67打点と自己最高の成績を残すと、投手としても10勝4敗 174奪三振 防御率1.86(規定には4イニング足らず)。
シーズン序盤に調子が上がらなかったため、やや勝ち星が伸びなかったが、史上初となる2度目の2桁勝利2桁本塁打を達成した。

チームも大谷に引っ張られるように、調子を上げていく。7月3日のソフトバンク戦では、1番・ピッチャーで出場。
打っては先頭打者本塁打、投げては8回無失点10奪三振という漫画のような展開を現実でやってのけた。投手として出場した選手が先頭打者本塁打を放つのも、やはり史上初めての出来事だ。
その後もチームは勝ち星を重ね、最大11.5もあったソフトバンクとのゲーム差をひっくり返しての逆転優勝を達成。大谷はクライマックスシリーズ、日本シリーズでも活躍し、自身初の日本一を経験した。

大谷の記録はこれだけではない。NPB史上初、投手と指名打者の2部門でベストナインを獲得したのだ。
本来、1人の選手を複数のポジションに記入して投票することはできなかったのだが、この年から「同一選手を投手と野手の両方に投票することは可能」と規定が変更され、この記録が実現した。大谷1人の存在で、タイトルの規定すらも変わってしまう。それくらい、この年の大谷は圧倒的であった。

高校時代から160km/hを記録!プロ入り後はさらに球速を伸ばす

大谷の日本記録といえば、球速の話も欠かせない。花巻東高校時代から速球派投手として知られ、3年生の夏には160km/hを記録。大学・社会人を含めても、日本のアマチュアで160km/hを記録したのは史上初である。

プロ入り後はさらにその記録を塗り替えていくこととなる。2013年5月23日のヤクルト戦では157km/hを記録。これはNPBの新人投手の初登板記録としては最高の数字だ。さらに2年目の2014年には160km/hをマークした。
初計測は6月4日の広島戦であるが、それ以降も160km/h越えを連発。オールスターではマーク・クルーン(元横浜・巨人)に並ぶNPBタイ記録、162km/hも計測している。

史上初!NPBで165km/hを計測!

そして4年目の2016年5月、とうとう大谷はNPB最速の男となった。6月5日の巨人戦で163km/hをマークし、NPB最速記録を更新。さらに9月13日のオリックス戦では、その記録を164km/hにまで更新した。
なおこの時の打者、糸井嘉男(現:阪神タイガース)もすさまじい反応を見せ、バットを折りながらもこのボールをライト前ヒットにしている。球界のトップ同士が見せた力と力の勝負に、球場も異様な雰囲気に包まれていた。

そしてクライマックスシリーズのホークス戦、大谷はさらなる高みに上った。この試合はDHとして出場し、9回から1 イニングだけ登板。
まず先頭の松田宣浩への初球が163 km/hを記録すると、3球目には164km/h。ストレートを投げるごとに、球場全体がざわめいていく。そして松田を145 km/hのスライダーで三振に打ち取ると、続く吉村裕基への初球であった。

目一杯投げ込んだ渾身のストレートは、なんと165km/hを記録。見逃せばボールという低めのストレートにもかかわらず、吉村は思わずスイングしてしまった。それほどの球威だったのだろう。
バックスクリーンに大きく表示される165km/hの文字、スタンドからは驚きの声が沸き上がる。続く本多雄一の打席でも2球目のフォークが151km/hを計測すると、3球目のストレートは再び165km/h。
いったいこの男はどれほどの可能性を秘めているのだろうか。1イニングだけであったが、大谷の投球が日本中に衝撃を与えた瞬間となった。

MLBでも想像を超える活躍を見せてくれるか

改めて振り返ると、彼の持つ才能は本当に恐ろしい。入団時には賛否両論あった二刀流も、結果で周囲の声を吹き飛ばしてきた。
NPB史上初の2桁勝利2桁本塁打に、投手・指名打者の2部門でのベストナイン、さらにNPB最速記録となる165km/h。この5年間、誰も達成したことがない記録をいくつも達成した。文字通り、NPBの歴史を塗り替えた男だ。きっとMLBでも私たちの想像を超える活躍を見せてくれることだろう。