「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【データ分析】トライアウトレビュー ~2017年12月3日時点~

【野球オフ企画】トライアウトレビュー ~2017年12月3日時点~
このエントリーをはてなブックマークに追加

復帰すべく最終決戦「トライアウト」

 11月15日に12球団合同トライアウトが、マツダスタジアムで行われた。今年は投手26名、野手25名の計51選手が参加。今回は主な参加者のこれまで歩んできた道のりや、当日の結果を振り返っていきたい。

2015~17年H大隣:投手成績


 今回の参加者の中で、最も実績のある選手が大隣憲司だろう。2006年大学・社会人ドラフト希望枠でソフトバンクに入団した左腕は、過去2度の2ケタ勝利を挙げるなど通算52勝を誇る。しかし、13年に黄色靱帯(じんたい)骨化症を発症。その後14年には復活を果たし、チームの日本一に貢献したものの、ここ2年間は長い二軍生活を余儀なくされていた。
 トライアウト当日は4人の打者と対戦し、最速141キロをマーク。2つの見逃し三振を奪うなど、切れ味鋭いボールを披露した。いまだ去就は決まっていないが、現役に強いこだわりを見せる左腕に吉報は届くか。

2017年トライアウト参加者:ドラフト1位指名選手

※片山、赤坂は高校生ドラフト1巡目
※大隣は大学・社会人ドラフト希望枠
※前所属、ポジションは2017年のもの


 また、今回は大隣をはじめ、大きな期待を寄せられてプロの世界に飛び込んだ選手が多くいた。分離ドラフトを含めると、7人の選手が最上位で入団。しかしプロの壁に阻まれた者もおり、特に野村亮介は高校を卒業後、社会人を経て14年にドラフト1位で中日に入団したが、わずか3年で戦力外となった。
 そんな彼らの中で当日、最も輝きを放ったのが柿田裕太だ。DeNAに13年ドラフト1位で指名された右腕は、参加者唯一の4者連続三振を奪う好投。プロ4年間で一軍登板ゼロの右腕が、土壇場で猛アピールを見せた。

2017年トライアウト参加者:主な野手の当日打撃成績


 一方の野手勢では、2選手にうれしい知らせが届いた。守備、走塁の評価が高い田代将太郎はヤクルト、内野ならどこでも守れる山崎憲晴は阪神への入団が決定。
 その他には3球団を渡り歩いたベテラン・木村昇吾や、ルーキーイヤーの15年には楽天で67試合に出場した福田将儀らが参加。また、2年連続のトライアウト受験となった榎本葵は、本塁打を含む3打数3安打と存在感を示した。昨年はヤクルトとの契約を勝ち取った男に、今年も声がかかるだろうか。

 現在、今年の参加者51人のうち、NPB球団への移籍が決まっているのは先述の2名のみ。今後、新たに契約を結ぶ選手が出るかもしれないが、トライアウトからの復帰は狭き門であることをあらためて思い知らされる。
 多くの選手にとって、これで公の場でのユニホーム姿は見納めとなる可能性が高く、トライアウトは野球にしがみつく男たちの最終決戦といえるだろう。


企画、監修:データスタジアム