2017年オフは7名がFA宣言
FA権が4名の合計7名が『FA宣言選手』となっている。2016年シーズンオフは国内FA権が4名、海外FA権が2名の合計6名だった。そのうち、栗山巧選手(西武)が宣言残留をし、その他の5名はそれぞれ他球団へと移籍。
今回はどのような結果になるのだろうか。ここでFA宣言選手について今シーズンの成績を含め振り返ってみたい。また、各選手の推定ランクは推定年俸より算出している。(注1)
【国内FA宣言選手】
野上亮磨選手(西武/投手)
増井浩俊選手(日本ハム/投手)
大和選手(阪神/内野手)
【海外FA宣言選手】
鶴岡慎也選手(ソフトバンク/捕手)
平野佳寿選手(オリックス/投手)
大野奨太選手(日本ハム/捕手)
涌井秀章選手(ロッテ/投手)
【注】
FA選手のランクによって移籍球団から前球団への補償が異なってくる。
Aランク:日本人選手の年俸上位3位(人的補償+旧年俸の0.5倍もしくは旧年俸の0.8倍)
Bランク:日本人選手の年俸上位4位から10位(人的補償+旧年俸の0.4倍もしくは旧年俸の0.6倍)
Cランク:日本人選手の年俸11位以下(補償なし)
※Aランク、Bランクともに2度目の宣言選手に関しては金銭部分がさらに2分の1となる
※人的補償は前球団が作成した28名のプロテクト名簿外から選出
野手は大和選手ら3名が宣言
2017年は3名の野手が手を挙げた。内外野を守れるユーティリティープレーヤーの大和選手(阪神)、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表にも選ばれた大野奨太選手(日本ハム)、2度目の権利行使となった鶴岡慎也選手(ソフトバンク)だ。
大和選手は2014年にゴールデングラブ賞(外野手)を受賞するなど守備には定評がある。外野だけでなく二遊間もこなすことができ、球界屈指の守備力を誇っているといえるだろう。
2017年シーズンも二塁(48試合)、遊撃(56試合)、外野(5試合)で守備についた。守りの要でもあるセンターラインを強化したい球団は喉から手が出るほど獲得したい存在だ。また、阪神タイガースは宣言残留も認めており、移籍が前提ではない。残留、移籍どちらになるか注目が集まる。
日本代表にも選ばれた大野選手はチーム事情、故障もあり2017年シーズンは83試合の出場に終わっている。オフに右ヒジの手術を行い現在はリハビリ中。
岐阜県出身ということもあり、東海地区の中日ドラゴンズが獲得に乗り出す方向だ。谷繁元信選手が引退後に正捕手を固定できていない中日が獲得できるだろうか。
福岡ソフトバンクホークスからFA宣言をした鶴岡選手は自身2度目の権利行使となる。2013年オフに北海道日本ハムファイターズからソフトバンクへと移籍。
2016年シーズンは103試合に出場したものの、2017年シーズンはわずか29試合の出場に留まっている。若い甲斐拓也選手らが育っていることもあり、出場機会を求めての宣言となる。日本ハム、ソフトバンクと強豪チームを渡り歩いた捕手の頭脳を手に入れたい球団はあるだろう。
・大和選手(阪神)
推定ランク:B
100試合/打率.280/1本/16打点
・鶴岡慎也(ソフトバンク)
推定ランク:C
29試合/打率.321/3本/5打点
・大野奨太選手(日本ハム)
推定ランク:B
83試合/打率.221/3本/13打点
チームの柱になりうる投手ふたり
海外移籍を目指さない選手の中で、もっとも注目を浴びているのが増井浩俊選手(日本ハム)だ。2016年シーズンはシーズン途中から先発に転向し2桁勝利を達成。リーグ優勝に貢献し、2017年シーズンは中継ぎとして52試合に登板。防御率2.39と安定した成績を残している。
先発、中継ぎ双方を高いレベルで任せることができるのは大きな魅力だ。だが、2018年は34歳のシーズンとなり、ベテランの域に近づいている。最後の宣言になる可能性も高く、日本ハムへの残留を含めてチーム選びは熟考することになりそうだ。
埼玉西武ライオンズからFA宣言をしたのが野上亮磨選手だ。2017年シーズンは4年ぶりとなる2桁勝利を達成。タイトルの獲得こそないが、先発投手として安定した成績が期待される。
・野上亮磨選手(西武)
推定ランク:B
24試合/11勝10敗/防御率3.63
・増井浩俊選手(日本ハム)
推定ランク:A
52試合/6勝1敗27S7H/防御率2.39
海外移籍を目指すふたり
海外FA権を行使した4選手のうち涌井秀章選手(ロッテ)、平野佳寿選手(オリックス)はメジャーリーグ移籍を目指すことになりそうだ。両選手ともに国内移籍の可能性は低く、メジャーリーグとの交渉がまとまらなかった場合、現在の所属チームに残留することが濃厚。
涌井選手は先発として25試合に登板。5勝11敗とエースとしての役割を果たすことはできなかった。しかし、入団2年目から5年連続2桁勝利を達成し2009年には沢村賞を受賞。ロッテに移籍した2014年からの4シーズンでも38勝を挙げるなど実績は十分だ。
また、メジャーリーグのローテーションに入り中4日で1年間を戦うスタミナも持ち合わせているだろう。先発4番手から5番手の役割で契約することが予想される。
オリックス・バファローズで抑えとしてプレーした平野佳寿選手。第4回WBCでは中継ぎとして活躍。6試合に登板するなどフル回転しチームの準決勝進出に大きく貢献している。
ストレートとフォークボールを武器としており、メジャーでもセットアッパーとしての起用が濃厚。上原浩治選手などと同じような役割になりそうだ。
・涌井秀章選手(ロッテ)
推定ランク:A
27試合/5勝11敗/防御率3.99
・平野佳寿選手(オリックス)
推定ランク:A
58試合/3勝7敗29S8H/防御率2.67