初開催となった若手の大会
11月16日に開幕するENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017。この大会は日本代表、韓国代表、チャイニーズ・タイペイ代表の3チームで争われる新設の大会だ。
3チーム総当たりで予選を行い上位2チームが決勝で戦うことになる。また、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)とは違い年齢制限が設けられている。今大会の参加資格はU-24(1993年1月1日以降生まれ)もしくは入団3年目以内だ。ただし、各チームともに3名までオーバーエイジ枠が認められている。日本も3名のオーバーエイジ枠を利用。ただし、30代の選手は不在。選手たちのコミュニケーションが取りやすいように配慮された。
日本代表は2017年3月に行われた第4回WBCで指揮を執った小久保 裕紀監督が大会後に退任。新たに稲葉 篤紀氏が新監督に就任し初の国際試合となる。2020年の東京オリンピックで金メダルを獲得するためにも、ふがいない戦いを見せるわけにはいかない。
日本代表の精鋭25名はフレッシュなメンバー
日本代表メンバーは22名のU-24世代(もしくは入団3年目以内)とオーバーエイジ枠3名を合わせた25名が選ばれた。注目のオーバーエイジ枠には又吉 克樹選手(中日)、甲斐 拓也選手(ソフトバンク)、山川 穂高選手(西武)と3名の上限まで使用。又吉選手はセットアッパー、甲斐選手は正捕手、山川選手は4番としての役割が期待されている。
代表メンバー発表後に山岡 泰輔選手(オリックス)、宇佐見 真吾選手(巨人)がそれぞれ故障により辞退。その代替選手として招集されたのが野田 昇吾選手(西武)、若月 健矢選手(オリックス)のふたりだ。全25選手のなかでWBCメンバーに選出されていたメンバーはおらず、フレッシュなメンバー構成となった。
【日本代表メンバー】
<監督>
稲葉 篤紀監督
<コーチ>
金子 誠コーチ
建山 義紀コーチ
村田 善則コーチ
井端 弘和コーチ
清水 雅治コーチ
<投手>
野田 昇吾選手(西武)※山岡 泰輔選手(オリックス)が辞退により選出
又吉 克樹選手(中日ドラゴンズ) ※オーバーエイジでの選出
多和田 真三郎選手(埼玉西武ライオンズ)
山﨑 康晃選手(DeNA)
近藤 大亮選手(オリックス)
今永 昇太選手(DeNA)
薮田 和樹選手(広島)
平井 克典選手(西武)
石崎 剛選手(阪神)
堀 瑞輝選手(日本ハム)
田口 麗斗選手(巨人)
<捕手>
若月 健矢選手(オリックス)※宇佐見 真吾選手(巨人)が辞退により選出
近藤 健介選手(日本ハム)
田村 龍弘選手(ロッテ)
甲斐 拓也選手(ソフトバンク)※オーバーエイジでの選出
<内野手>
京田 陽太選手(中日)
源田 壮亮選手(西武)
外崎 修汰選手(西武)
中村 奨吾選手(ロッテ)
松本 剛選手(日本ハム)
山川 穂高選手(西武)※オーバーエイジでの選出
西川 龍馬選手(広島
<外野手>
オコエ 瑠偉選手(楽天)
桑原 将志選手(DeNA)
上林 誠知選手(ソフトバンク)
クリーンアップは上林選手、山川選手、近藤選手の3名
この大会前に宮崎県で合宿をおこなった日本代表。日本ハム、西武との練習試合も行い代表メンバー全員が試合に出場した。稲葉監督も打順、守備などのイメージもふくらませることができたただろう。そのなかでキーマンとして指名したのが上林 誠知選手(ソフトバンク)だ。
上林選手は2017年シーズンはじめて規定打席に到達。134試合に出場し打率.260(415打数108安打)、13本塁打、51打点の成績を残しキャリアハイを達成した。左打ちということもあり、シーズン成績では対左投手(打率.212)の打率が対右投手(打率.273)に比べ約6分悪いが、相手投手の左右に関係なく全戦で起用される見通しだ。また、打順もクリーンアップを任されることが濃厚。ソフトバンクでは恐怖の下位打線としてプレーしたが、日本代表では中軸としての働きが求められる。
また、4番を務めるのがオーバーエイジ枠の山川 穂高選手(西武)だ。これまでに、本塁打王を6回獲得している中村 剛也選手(西武)二世とも呼ばれており、2017年シーズンは23本塁打をマーク。日本ハムとの練習試合でも豪快な本塁打を見せてくれた。本戦でも主砲としての期待がかかる。
上林選手、山川選手とともに中軸を担うことが予想されているのは近藤 健介選手(日本ハム)だ。近藤選手は2017年シーズン途中にヘルニアにより離脱。1年間を通して戦うことはできなかったが、57試合で打率.413(167打数69安打)とハイアベレージをマーク。ヒットメーカーとしての活躍が期待される。
抑えはDeNAの守護神・山﨑 康晃選手
11名が選ばれている投手陣。所属チームにおいて先発で起用されているのは薮田 和樹選手(広島)、今永 昇太選手(DeNA)、田口 麗斗選手(巨人)、多和田 真三郎選手(西武)の4名だ。そのなかで今大会において先発が予想されるのは薮田選手、今永選手、田口選手の3名だ。決勝まで勝ち残っても最大3試合のため、多和田選手は中継ぎ待機となる見込み。3選手ともに2017年シーズンで2桁勝利を達成。その実力を日本代表でも発揮してもらいたい。
中継ぎ投手陣は抑えで山﨑 康晃選手(DeNA)を起用。セットアッパーとして石崎 剛選手(阪神)、オーバーエイジ枠の又吉選手を見込んでいる。西武との練習試合でも7回(石崎選手)、8回(又吉選手)、9回(山﨑選手)の並び無失点と結果を出しており、本番でも勝利の方程式として結果を残すことに期待したい。
セットアッパーの石崎選手、又吉選手はともに右のサイドスローだがタイプは違う。7回、8回とイニングを固定するのではなく、相手打者の特徴に応じて使い分けることが予想される。また、今回招集されたメンバーで最年少の堀 瑞輝選手(日本ハム)は西武戦で1.1回を無失点に抑える好投。左のワンポイント起用だけではなく、1イニング以上を任されることも考えられそうだ。
監督、選手ともに手探りの状態ではあるが、2020年の東京オリンピックに向けてよい結果を期待したい。