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主軸の不振、故障者続出で低迷した日本ハムの2017年シーズンまとめ

2017 11/10 12:24cut
野球ボール,グローブ
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2017年の北海道日本ハムファイターズ

2016年に奇跡の逆転優勝を果たし、日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズ。2017年シーズンは大谷翔平選手の故障などもあり開幕から波に乗れなかった。シーズンを通じて一度も上位争いをすることなく5位に沈んでしまう。

【2017年シーズン成績】
順位:5位
勝敗:60勝83敗
勝率:.420
打率:.242(5位)
本塁打数:108本(5位)
得点数:509点(5位)
盗塁数:86盗塁(2位)
防御率:3.82(4位)

投打ともに精鋭を欠いた日本ハム。それはチーム成績にも表れている。投打の主軸である大谷選手の故障、中田翔選手、有原航平選手の不振が響き打率、得点、本塁打はパ・リーグ5位。防御率もリーグ4位。盗塁数こそ盗塁王の西川遥輝選手がいたことでリーグ2位だが、チームの順位を押し上げるに至らなかった。

またシーズン途中には、中継投手の中心であった谷元圭介を金銭トレードで中日ドラゴンズへと放出される。
東京ヤクルトスワローズへは屋宜照悟選手を放出し杉浦稔広選手を、横浜DeNAベイスターズへはエスコバー選手を放出し、黒羽根利規選手を獲得するなど果敢に選手の入れ替えも行った。これは来シーズン以降へ向けた意味合いも強かったといえそうだ。

大谷選手が不在、有原選手が不調だった投手陣

2016年の日本シリーズで右足首を痛めた大谷翔平選手。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に選出されたが、最終的には辞退した。投手としてはペナントレースの開幕戦にも間に合わなかった。
開幕後に故障をした影響もあり、初めてマウンドに登ったのは前半戦終了間際の7月12日だった。以降、5試合に登板し3勝をマークしたものの、戦力となれたとは言えないシーズンだった。しかし、最終登板では9回完封被安打2、10奪三振の好投を見せ、いい形でシーズンを締めくくった。

大谷選手の不在により開幕投手を任されたのは3年目の有原航平選手だった。開幕戦で6回途中6失点でノックアウトされると4連敗。その後も7月から8月にかけて5連敗を喫してしまう。
しかし、9月後半からは3連勝を飾り、2桁勝利になんとか到達した。最低限の役割を果たしたと言えるが、期待度からすると物足りなかった。

昨シーズンは抑えから先発に転向し、優勝の立役者となった増井浩俊選手。契約更改時に抑えを志願し、今シーズンは再び中継ぎスタートとなった。シーズンを通して52試合に登板し、防御率2.39と安定した投球を披露した。投手陣の中で奮闘したといえるだろう。

また、シーズン終盤にはドラフト1位の堀瑞輝選手が登板するなど若い選手も出てきており、来シーズンは体制が大きく変わりそうだ。

【主な投手成績】

大谷翔平選手
5試合/3勝2敗/防御率3.20

有原航平選手
25試合/10勝13敗/防御率4.74

増井浩俊選手
52試合/6勝1敗27S7H/防御率2.39

中田翔選手が極度の不振となった野手陣

投手としては出遅れたものの、野手としては開幕戦から出場した大谷翔平選手。
3番・指名打者として開幕カードに出場すると3試合で打率.667(12打数8安打)、1本塁打、1打点と大活躍。故障の影響を感じさせない打撃を見せてくれた。しかし、4月上旬に肉離れを発症し戦線離脱。復帰したのは6月下旬だった。
その後はシーズン終盤まで離脱することなく主軸を務めている。自身最終登板となった10月4日の試合では4番・投手として出場した。65試合の出場に終わってしまったが、打率.332(202打数67安打)、8本塁打、31打点の成績を残し最低限の働きは見せた。

一方でシーズンを通して不調から抜け出せなかったのが中田翔選手だ。
中田選手は開幕から4番を任されていたが、交流戦で3番に打順変更。前半戦終了間際には1番で起用されるなど変化を与えられたが、効果はなく2012年から5年連続で続いていた20本塁打が途切れる16本塁打に終わっている。シーズン終了後には国内FAとなり権利の行使にも注目が集まる。

その他の選手を見るとリードオフマンとして西川遥輝選手が躍動。
3年ぶり2度目の盗塁王に輝いている。昨シーズン、本塁打王に輝いたレアード選手は低打率ながら32本塁打を放つなど一定の活躍を見せた。また、巨人からトレードで移籍してきた大田泰示選手も結果を残した。オープン戦での故障もあり開幕は出遅れたが、自身初となる規定打席に到達。
キャリアハイとなる打率.258(427打数110安打)、15本塁打、46打点を記録している。『未完の大器』と呼ばれ続けた男が新天地でようやく花開いた格好だ。

【主な野手成績】

大谷翔平選手
65試合/打率.332/8本/31打点

中田翔選手
129試合/打率.216/16本/67打点

西川遥輝選手
138試合/打率.296/9本/44打点

4割への挑戦を目指す近藤健介選手

今シーズン序盤に安打を量産し『夢の4割打者』への期待がかかった近藤健介選手。4月を打率.416で乗り切ると、以降もペースは落ちることなく6月の上旬まで4割をキープ。6月6日の時点で打率.407の成績を残していた。
しかし、ヘルニアの影響もあり戦線離脱となった。治療法として手術を選び、夢への挑戦は来シーズン行こうに持ち越された。

早めの判断が功を奏したのか、近藤選手はシーズン終盤の9月にリハビリを経て一軍復帰を果たす。最終的には打率.413と規定打席には及ばないが、4割をキープしてシーズンを終えている。
2016年終了時点でのシーズン最高打率は、1986年にバース選手が記録した打率.389(453打数176安打)だ。仕切り直しを行い改めて打率4割を目指すことに期待したい。

2018年シーズンに向けて

栗山英樹監督の続投が決まり、来シーズンは7年目となる。選手たちの統制、フロントとの連携もうまくいっており5位からの巻き返しに期待がかかる。

野手陣は今シーズン終了間際に本塁打を量産した横尾俊建選手(7本塁打)、二軍とはいえ18本塁打で本塁打王に輝いた森山恵佑選手と長距離砲候補が揃っており、次世代の大砲育成に注目したい。

また、投手陣では2016年ドラフト1位の堀瑞輝選手、2015年ドラフト1位の上原健太選手と左腕に有望選手がいる。先発左腕には加藤貴之選手がいるものの2番手、3番手の左がいるのは心強い。吉川光夫選手(現・巨人)のように左腕を育成することが上位進出の近道となりそうだ。