2017年の千葉ロッテマリーンズ
シーズン序盤から一度も上位争いをすることなく、最下位に沈んだ千葉ロッテマリーンズ。その責任をとって今シーズン指揮を執った伊東勤監督は退任となった。
【2017年シーズン成績】
順位:6位
勝敗:54勝87敗2分
勝率:.383
打率:.233(6位)
本塁打数:95本(6位)
得点数:479点(6位)
盗塁数:78盗塁(3位)
防御率:4.22(6位)
6位という成績が示すとおり野手、投手ともに低調な成績に終わってしまった今シーズン。とくにチーム打率.233は1965年の打率.232につぐ球団史上ワースト2位となってしまった。当時はDH制が取られておらず、DH制導入後はワーストの記録である。(DH制は1975年より採用)
シーズン途中に緊急補強としてサントス選手、ペーニャ選手を獲得したが、起爆剤とまではいかず苦しいシーズンとなった。
投手陣もチーム防御率4.22が示すとおり崩壊。2桁勝利投手は不在で中継ぎ陣も安定しなかった。しかし、佐々木千隼選手、酒居知史選手とドラフト1位、2位の両選手が終盤に実力を発揮した。来シーズンに期待の持たせる内容を見せてくれたことは好材料だといえそうだ。
二本柱が崩れるも二木選手が台頭した投手陣
2本柱の涌井秀章選手、石川歩選手が貯金を作ることができず、苦しいシーズンとなった。とくに石川選手は第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表でも好結果を残すことができず、年間を通じて低調な成績となってしまった。
また、涌井選手も打ち込まれるケースが多く、エースの役割を果たしたとは言えない結果となった。その低調な投手陣のなかで結果を残したのが、4年目の二木康太選手だ。
2016年シーズン半ばからローテーションを任された若武者は、今シーズン初の規定投球回到達。7勝9敗と貯金を作ることはできなかったものの、防御率3.39と安定して試合を作ったといえるだろう。
また、中継ぎ陣では毎年、故障離脱が多い内竜也選手が年間を通じて活躍した。シーズン半ばからはクローザーも任されるなど、キャリア最多の50試合に登板を果たした。来シーズンも中継ぎの柱として同様の期待がかかる。
【主な投手成績】
涌井秀章選手
25試合/5勝11敗/防御率3.99
二木康太選手
23試合/7勝9敗/防御率3.39
石川歩選手
16試合/3勝11敗/防御率5.09
緊急補強をするも起爆剤にはならなかった野手陣
DH制導入後チームワースト打率となった打撃陣。本塁打数(95本)も6位とリーグ最下位となっている。
昨シーズンまで主砲を務めていたデスパイネ選手が福岡ソフトバンクホークスへ移籍。新外国人選手のダフィー選手、パラデス選手で穴を埋めようとしたが、埋まらなかった。
シーズン途中にはキューバ代表としてWBCにも出場したサントス選手を獲得するも、長打力不足解消には至らず。その後、日本での実績もあるペーニャ選手を獲得。70試合の出場ながらチーム最多の15本塁打を放つ活躍を見せたが、上位進出のきっかけにはならなかった。
昨シーズンの首位打者でもあった角中勝也選手は故障により離脱期間があり、規定打席に到達はしたものの、年間を通じての活躍はできていない。このように、期待される打者が思うような成績を残すことができず、チームとしても得点力が上がらなかった。
【主な野手成績】
角中勝也選手
110試合/打率.269/8本/44打点
鈴木大地選手
143試合/打率.260/11本/52打点
ペーニャ選手
70試合/打率.242/15本/38打点
来シーズンに期待ができそうなルーキーたち
チーム状況はよくなかったもののルーキーたちは躍動した。ドラフト1位の佐々木選手は初登板初白星をマークしたものの、制球難もあり実績を残せず7月に降格。二軍で調整を行い9月に復帰して以降は4試合に登板し2勝0敗、26回を投げて自責点はわずかに3とドラフト1位の片鱗を見せてくれた。目標に掲げた新人王の受賞はむずかしいが、翌年以降への期待をもたせてくれるシーズン終盤の投球内容だった。
また、2位の酒居選手はシーズン開幕当初から中継ぎ起用されたが、結果を残せずに二軍調整となる。そして、8月以降先発に転向し一軍復帰すると、ローテーションに加わり、5勝1敗と結果を残した。来シーズンは開幕ローテーションに入ることになりそうだ。
5位の有吉優樹選手は開幕一軍をつかむと一度も降格することなく一軍に帯同。大谷智久選手(55試合)につぐ53試合に登板し2勝5敗1セーブ、16ホールド、防御率2.87の成績を残しフル回転を果たしている。下位指名ながら中継ぎエースとして戦力となった。
【主な新人成績】
佐々木千隼選手
15試合/4勝7敗/防御率4.22
酒居知史選手
19試合/5勝1敗1H/防御率3.13
有吉優樹選手
55試合/2勝5敗1S16H/防御率2.87
2018年シーズンに向けて
5年間にわたりチームを率いた伊東勤監督が退任し、今シーズンまで現役で活躍した井口資仁選手が引退し監督へ就任となる。新たな体制になることでコーチ陣も大幅に入れ替わることになりそうだ。
また、今シーズン外国人選手が不振を極めたこともあり、補強も再度行うことになる。首脳陣、選手を入れ替え最下位からの脱出を目指す。
野手を見ると内野陣の固定が急務だ。今シーズンは二塁の鈴木大地が全試合出場を果たしたものの、その他の3ポジションは半数以上出場した選手は皆無である。一塁、三塁、遊撃と固定できなかったのだ。新外国人選手との兼ね合いもあるが、レギュラーを固定することをまず行いたい。
また、リーグワーストの本塁打数を快勝するために、長距離砲の獲得も重要なポイントとなる。今シーズン途中に加入したペーニャ選手は残留の見込みだが、もうひとりパワーヒッターが欲しいところだ。新外国人選手の発掘に期待がかかる。
投手陣は涌井選手が海外FA権を行使する可能性がある。チームは宣言残留も認めているものの、先発投手の補強が必要だ。
ローテーションは石川選手、二木選手、佐々木選手、酒居選手と涌井選手が不在でも4名いるが、左腕は不在。シーズン最終盤に一軍デビューを果たした成田翔選手の飛躍が期待される。同時に新外国人投手の獲得にも注目が集まる。
今シーズンは野手、投手ともにかみ合わず低迷してしまったが、井口新監督の元で再出発を切ることに期待したい。