プロ野球における引っ張りとは?
野球における引っ張りとは、打者の利き腕と反対方向に打球を飛ばす打ち方だ。逆に利き腕と同じ方向へ打球を飛ばすのが流し打ちとなる。右打者であれば左方向(左翼方向)、左打者であれば右方向(右翼方向)への打球が引っ張りと呼ばれるのだ。
引っ張りの方が流し打ちに比べると打球が強くなる。そのため、パワーヒッター、本塁打を狙う打者が引っ張りをする傾向にあり、引っ張り専門で打撃を行う選手のことを「プルヒッター」と呼ぶこともある。
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ホームランバッターが得意とする「引っ張り」。 よく耳にするフレーズではあるが、どのような打撃を「引っ張り」と呼ぶのだろうか。 今回は「引っ張り」について紹介する。
野球における引っ張りとは、打者の利き腕と反対方向に打球を飛ばす打ち方だ。逆に利き腕と同じ方向へ打球を飛ばすのが流し打ちとなる。右打者であれば左方向(左翼方向)、左打者であれば右方向(右翼方向)への打球が引っ張りと呼ばれるのだ。
引っ張りの方が流し打ちに比べると打球が強くなる。そのため、パワーヒッター、本塁打を狙う打者が引っ張りをする傾向にあり、引っ張り専門で打撃を行う選手のことを「プルヒッター」と呼ぶこともある。
星稜高校時代から「ゴジラ」として注目を浴び、読売ジャイアンツに入団後も本塁打を量産した松井秀喜選手。その本塁打の多くは引っ張りとなる右翼方向への当たりだった。
日本で放った最も有名な本塁打といっても過言ではないのが、2001年8月12日に行われた東京ドームでのヤクルト戦で放った一発ではないだろうか。打った瞬間それとわかる当たりは右翼スタンドに吸い込まれ、特大の一発は多くのファンの脳裏に刻まれた。
通案868本塁打を放つなど世界の本塁打王として野球の歴史に名を刻んだ王貞治選手。その本塁打のほとんどが右方向への引っ張りだった。
その打球傾向をつかんだ広島東洋カープは、王選手の打席のみ守備位置を右方向へ大胆に寄せる「王シフト」を組んだ。投手、捕手、遊撃方向へ移動した三塁手を除きグラウンドの6人を右方向へと移動させた。しかし、王選手は「シフトの上を越えればいい」と考え、流し打ちをせずに引っ張りを貫いたのだ。
2015年、2016年シーズンにNPB史上初となる2年連続トリプルスリーを達成した山田哲人選手。
その基本は引っ張り方向への強い打球だ。2016年シーズンも38本の本塁打のうち右方向は5本となっており、33本が中堅から左への本塁打となっているのだ。2015年シーズンは38本のうち右方向への本塁打はわずか3本だった。
このように引っ張り方向へ強く速い打球を打つのが山田選手の魅力であり、本塁打量産の秘訣のひとつとなっている。
1980年代後半から1990年代にかけて近鉄バファローズの主砲として活躍したラルフ・ブライアント選手。その魅力は豪快な本塁打にあった。本塁打か三振かという二者択一といった打撃は見るものを魅了し、ファンの記憶に残った。
代表的な本塁打といえば、1989年10月12日の西武ライオンズ戦だろう。優勝争いがかかっていたこのダブルヘッダーで、ブライアント選手は4打数連続の本塁打を放つのだ。1戦目で放った本塁打はすべて左打者のブライアント選手にとって引っ張りとなる右翼方向への打球だった。この奇跡の本塁打があって近鉄は優勝に輝き、ブライアント選手はMVPを受賞するのだ。
引っ張り方向への打球が多い選手は本塁打を狙う打者が多い。 野球の華でもある本塁打を狙うためには、引っ張りが重要となるのではないだろうか。 野球観戦で本塁打に出会ったとき、引っ張りか流し打ちかを確認すると、野球がより楽しめるのでオススメだ。