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投球フォームが変化!?阪神・秋山拓巳の成長の秘密とは


とうとう1軍で2桁勝利をあげた秋山拓巳

2009年ドラフト4位でタイガースに入団した秋山拓巳選手が、遂にブレイクを果たした。1年目から4勝3敗、さらに9月には無四球完封勝利をあげ、将来のエース候補として大きな期待を寄せられていた。
だが2年目以降は勝ち星に恵まれず、2010年から2016年までの7年間の成績は33試合(26先発)に登板し、6勝11敗 防御率4.97というもの。
2012年6月30日から、2016年9月16日までの約4年3か月、日数にして1539日もの間、1軍での勝利がなかった時期もあったほどだ。2軍では毎年のように好成績を残していたのだが、1軍では勝てていない時期が非常に長かった。

だが2017年の秋山選手は、8月終了時点で19試合に先発し、11勝4敗 防御率2.87という好成績を残している。特にコントロールは抜群で、ここまで125回1/3を投げ、四死球はたったの16個しか出していない。四球率は驚異の1.15だ。金本監督からも厚く信頼されている。今回はそんな秋山選手の成長の秘密に迫っていこう。

成長の秘密はストレート!しっかりとスピードと球威のある球に

秋山選手が以前と比べ、もっとも変わった部分は、やはりストレートだろう。1年目の秋山選手は、しっかりとコントロールされたストレートでゴロを打たせるピッチングをしていた。
だがコントロールを気にするあまり、2年目以降はフォームが全く固まらない日々が続き、いつしか球速も140㎞/h前半ほどになり、スピードも球威もないストレートしか投げられなくなってしまっていたのだ(それでも2軍では勝てていたのだから大したものなのだが)。

しかし今季はしっかりとスピードと球威のあるストレートを投げており、それがコースにズバッと決まるのだ。しばらく迷っていたフォームがようやく固まり、ストレートの球威が戻ってきたようだ。フォームを見てみると、腕の振り・腰のひねり・胸の張り・歩幅。以前と見比べると、そのほとんどに変化があるように思う。

そのきっかけとなったのは藤川球児選手のアドバイスだったという。2016年の8月頃、中継ぎとして待機していた秋山投手に対して「しっかりと腕を振って、球速を意識して投げてみろ」とアドバイスを送ったそうだ。
非常にシンプルなアドバイスであるが、これを実行した秋山選手は、この日の試合で見事に2回無失点2奪三振という成績を残している。だがそれ以上に、この試合で彼が得たものは大きかった。

長年試行錯誤していたフォームがようやく固まる

球速を上げようとすれば、腕を思いっきり振ることが大切になる。だが腕を強く降るためには、腰をしっかりとひねらなければならない。今までの秋山選手は、コントロールを重視するあまりに、小さくまとまったフォームになってしまっていたようだ。
しかし藤川選手のアドバイスを受け、腕を思いっきり振ろうとしてみたところ、自然と腰のひねりが入るようになったという。ひねりすぎず、緩すぎず、秋山選手にとって理想のひねり加減が見つかったのだ。

この試合で手応えをつかんだ秋山選手は、このフォームをさらに改良していく。オフの自主トレでは、腰のひねりに加え、胸の張りを意識。
参考にしたのは、合同自主トレで一緒になったオリックスの岸田護選手だそうだ。胸をしっかりと張ると、それだけでフォームの開きが抑えられる。リリースのギリギリまで腕が出てくるのを我慢できるので、それだけ球持ちも良くなっていき、よりストレートを早く見せられるようになっていったのだ。

そして、投球時の歩幅を、以前よりも"狭く"した。歩幅が広すぎると、踏み出した足の踏ん張りがきかず、しっかりと体重を乗せる前に上体が突っ込んでしまうようになる。そうなるとしっかりと腕を振ることができなくなってしまうため、良いボールが行かなくなってしまうのだ。以前の秋山選手と比べると、その歩幅は約5cmほど狭くなったという。
たったそれだけの差ではあるが、しっかりと体重が乗るためストレートは威力が大幅に増す。さらに歩幅が狭くなった分、リリースポイントも高くなり、ボールに角度もつくようになった。
そうするとストレートだけでなく、フォークにも落差が出てくる。初めのきっかけはほんの些細なことだったかもしれない。だがそこから見違えるほどのボールを投げるようになっていった。

新球のシュートボールも効果的

さらに、2016年の夏頃から取り入れたシュートが、ここまで効果的に使われている。これまでの秋山選手は、ストレートとカットボールが軸であった。この2つに加え、縦のカーブやフォークなどを織り交ぜていくピッチングを主としていた。
だがこのカットボールは、右打者に対してあまり有効ではない。特に内角に投げた場合、少しでも甘く入ってしまうと、真ん中付近へ変化していくので非常に危険だからだ。

つまり、秋山選手には右打者の内角を突くためのボールがないという状態であった。右打者の外角低めに投げることができれば有効な球であるが、いくら秋山選手がコントロールに優れているとはいえ、そのコースだけで勝負できるほどプロの世界は甘くない。

だがこのシュートボールを加えたことによって、右打者の内角を厳しく突く球が増えた。このボールがあれば、外角のカットボールもより有効になる。
秋山選手ほどのコントロールがあれば、こういった内外への投げ分けはお手の物だろう。有利なカウントを作ることができれば、カーブやフォークといった落ちる球も有効になっていく。たった1球種加わるだけで、投球の幅はグッと広がっていったのだ。

ここから何年もエースとして活躍できるか

こうして秋山選手は、ほんの数ヶ月で1軍の勝ち頭になるまでに成長した。胸を張って腰をひねるフォームにし、歩幅を小さくし、投球にシュートを加えた。1つ1つの変化だけを切り取ってみると、とても些細なことかもしれないが、それらが組み合わさることで、まるで化学反応でも起こしたかのように成績が向上していった。

とにかく今年の秋山選手の安定感は抜群で、5月の巨人戦では球界を代表するエースである菅野智之選手に投げ勝ち、8月の試合では自身初のホームランを放ち、10勝目に花を添えた。
愛媛の西条高校時代には通算48本塁打を記録し、「伊予のゴジラ」と呼ばれた打棒は今でも健在のようだ。高校卒業後1年目から活躍していたため、ここまではかなり長い道のりだったように感じる。今後も、26歳の若きエースとしてチームを引っ張っていって欲しい。

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