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空振りを奪う魔球!チェンジアップを投げるプロ野球選手は誰がいる?

2017 8/3 12:53cut
野球ボール,ⒸSPAIA
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タイミングを外して空振りを奪うために投じられるチェンジアップ。 日米問わず使い手は多く、現役選手でも数多くの実力投手が自分のものにしている。 さて、そのチェンジアップはどのような選手が投げているのだろうか。

ストレートと同じ腕の振り!?チェンジアップ

ストレートと同じ腕の振りから繰り出されるスピードの遅いボールがチェンジアップと呼ばれる。その思い切りのよい腕の振りから、打者はストレートだと思ってバットを始動させるが、10キロから20キロ程度球が遅いため、バットは空を切るのだ。
ボールを鷲づかみのような握りから腕を振り抜くことで、ストレートよりも回転が少なく、空気抵抗を受けて球速が落ち、沈み込む。メジャーリーグの実況では「ブレーキングボール」と呼ばれることもある変化球だ。

チェンジアップの名手・杉内俊哉選手

現役選手でチェンジアップの名手といえば、読売ジャイアンツの杉内俊哉選手だ。福岡ソフトバンクホークスから巨人へFAで移籍した杉内選手の球速は、ストレートで140キロ手前と速くない。しかし、120キロ台のチェンジアップを組み合わせた組み立てを行うことで、緩急をつけて空振りを奪うのだ。
杉内選手のチェンジアップは沈むように落ち、左右への変化は少なく、スプリットに近い変化を見せている。2015年に股関節の手術を行ったことでリハビリが続く杉内選手の復活に期待がかかる。

阪神優勝の立役者になった井川慶選手

1997年のドラフト2位指名で阪神タイガースへ入団した井川慶選手。2年目となる1999年に一軍デビューを果たし、3年目には9勝をマークして一軍に定着し始める。しかし、一投手でしかなくエースになるような投手ではなかった。
その井川選手が大きく変わったのが3年目のオフだ。新たにチェンジアップを覚え、ストレートとのコンビネーションで打者を抑えられるようになったのだ。ストレートとほぼ同じ回転で放たれるチェンジアップは、打者は見分けがつかない。その魔球のおかげもあり、2003年には20勝をマークしてリーグ優勝に貢献。メジャーリーグ移籍、オリックス・バファローズなどを経て、2017年は独立リーグの兵庫ブルーサンダーズに所属している。
1979年生まれということもあり、もう一花咲かせてくれることに期待がかかる。

スライダーからチェンジアップへ、松井裕樹選手

桐光学園高校時代にスライダーを武器に、2012年夏の甲子園で歴代最多記録となる1試合22奪三振を記録。2年生ながらトップスターとして知られるようになった松井裕樹選手。間違いなく高校時代の武器はスライダーだった。
しかし、プロは甘くない。東北楽天ゴールデンイーグルスに入団後はスライダーが見極められてしまうのだ。そこで習得したのがチェンジアップだ。最速140キロ台後半のストレートを投げる投球動作と同じ腕の振りから繰り出されるチェンジアップは、プロでも威力を発揮し、多くの空振りを奪う。投球に占める割合も20%を超え、ストレートに次ぐ多さだ。プロ入り後に磨きをかけた松井選手のチェンジアップに注目が集まる。

七色の変化球を操る金子千尋選手

オリックス・バファローズのエースであり2017年の球界最高年俸投手である金子千尋選手。多くの変化球を操り、どの球種も一級品でストライク、空振りが取れる充実ぶりだ。その金子選手の持ち球の1つにチェンジアップがある。
このチェンジアップは、投げた瞬間にストレートだと打者は感じてしまい、バットを振り始めてから「あ!」と気づくのだ。その瞬間ではすでに遅く、バットは空を切ってしまう。ある選手は「反則です」と苦笑いするほどの魔球でもある。
多くの投手は絶対の決め球を持っており、追い込むと決め球をウイニングショットに使用する。しかし、金子選手の場合はすべての球が決め球のレベルで制御されており、打つことは一筋縄ではいかない。そんな金子選手の投球術に注目だ。

まとめ

北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手が160キロを超えるストレートを投げて話題になっているが、野球はスピードボールだけではない。 球速が遅くとも空振りを奪うことができる、そんな「チェンジアップ」に注目してみるのも、おもしろいのではないだろうか。